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■2001年6月 No.357 |
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保健婦連絡協議会の総会が5月31日、健保連大阪中央病院で開催され、12年度の事業報告と収支決算を承認しました。総会後、大阪大学の中西範幸助教授(公衆衛生学)が「職域における健康21の方策のあり方」と題して講演しました。 |
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平成13年度第1回の総会は107人の会員に対し、出席・委任状合わせて77人で成立しました。
沖中奈美子会長が「平成12年度の事業は女性の健康と心をテーマに進行」したことの報告、「職域ナースが日常の保健活動の中で興味を持ち、また得た体験・知識を活用することが大切であり、今後も研修会へのより多くの参加を期待したい」とあいさつしました。続いて健保連大阪連合会の置田専務理事が「情勢報告」(別掲)をしました。
議事では第1号議案の「平成12年度事業報告について」では5回にわたり行われた研修会と総会の内容・講師および出席者数等の報告がされました。
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沖中奈美子会長 |
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第2号議案では、「平成12年度収入支出決算について」大阪連合会の吉田事務局長からの報告、第3号議案では「平成12年度収支残高処分について(監査報告)」が行われ、各議案とも絶対多数により可決しました。 |
あいさつ
要 旨 |
高齢化社会に向け、1次予防に重点を
健保連大阪連合会 置田榮克専務理事 |
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生涯の健康づくり政策として「健康日本21」が実施されたわけですが、産業保健の分野における保健管理は、まず第1次予防に重点を置いていきたいと考えています。そのことは、今後の人口構成、すなわち2025年にピークを迎える高齢化社会に対応する取り組みです。健康で長生きをするためには皆様方の果たす役割はますます重要なものとなってきます。
健保財政は相変わらず苦しい状況にあります。そうしたなか、健保連としては拠出金制度を廃止し、社会保険方式にする。さらに現在の出来高払いでなく、適正な医療の実施によって医療費を抑制するよう国に要望しています。
また高齢者医療制度に関しては、高齢者と現役世代の公平な負担という視点から、例えば74歳までを前期とし2割、75歳以上を後期とし1割の本人負担にするなどの改革に関するさまざまな提案・活動を展開してまいります。
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大阪大学大学院
医学系研究科社会環境医学 中西範幸助教授(公衆衛生学)
●健康診断データの有効活用を |
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「健康日本21」は1987年にアメリカが打ち出した「ヘルシーピープル2000」にならったものです。この「ヘルシーピープル2000」は、150超の項目からなり、多くの選択肢の中から個人のライフスタイルによってチョイスできるようにしたもので、タバコの減少で心筋梗塞など他の病気も減少できたなど、大きな成果を生んだものです。
その目標としては、「健康寿命の延長↓健康増進」、「健康格差の減少↓健康保護」、「予防サービスへのアクセスの達成↓予防サービス」とされ、また個人が努力しても達成できないことは、国または地域がサポートすべきとしています。
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中西助教授 |
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「健康日本21」は、都道府県など地域を対象とした保健対策ですが、現在皆さんが対象としている人たちはいずれ地域にかえります。ということは、地域にかえる前の職域での保健対策とも深いかかわりがありますから、生涯を通じた健康管理という観点からも地域保健と産業保健の連携を図ることは、今後の重要課題だと思われます。
「健康日本21」の必要性として、●高齢化がピークを迎える2010年という年、●健康増進と疾病予防、●予防の経営学、などがあげられます。また「健康日本21」は、人々の健康の指標を一定の数値で示していることが最も大きな特徴であり、その示された数値をもとに「人々の固有の生活環境、健康に応対した目標値」を設定していこうというのが考え方で、領域としては、@栄養・食生活、A運動・身体活動、B休養・こころの健康、Cタバコ、Dアルコール、E循環器病、F糖尿病、G歯の健康、Hがん対策にわたります。
具体的な数値を示すためのデータは、これをとるための資料というのは意外とたくさんあるのです。実際、「健康日本21」の栄養・食生活に関する数値などは、「国民栄養調査」の全国平均値が用いられています。というのは、本当に詳しく調査しようとすれば24時間密着して調査しなければなりません。したがって市町村レベルの調査であってもばらつきのある結果しかあがってこないのです。ですから、他の領域に関しても質問法等に工夫した新たな調査方法が必要ではないかと思われます。
職域における健康診断は、1年に1回定期的にチェックすることで、継続的な健康状態の観察ができます。こうしたシステムがあるのは日本だけで、すばらしいことだと思います。例えば、そのデータをもとに健康への影響因子の発見・予防も可能で、職域における定期健康診断は科学的データを出せる唯一のものとして期待しています。ですから5年後、10年後の行動計画書を作成し、まとめる努力をぜひしていただきたいと思います。 |

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