広報誌「かけはし」
■2001年5月 No.356
時評
 「考え方」をみんなで考えよう!=改革プロジェクトチーム案=
 

 健保連の医療保険改革プロジェクトチームがまとめた「今後の制度改革に向けての考え方」(要旨)が全組合に示された。
 4月17日に朝日新聞に健保連が日医に歩み寄ったが如く報道されびっくり仰天したが、朝日の勇み足だとわかり安心した。しかしながら改革へのスタートからこのような状況を見るとき前途は厳しいといわねばならない。
 「考え方」の理念・目標を、「社会保険方式を基本とし、患者中心の医療の実現を図る」としたことは国民にも理解され受け入れられるだろう。
 「高齢者医療を中心に医療の合理化、適正化を図り、医療費を抑制する」という論調も国民の共感を呼ぶだろう。加えて「保険者の負担の限界を超えている拠出金制度を廃止し、新たな高齢者医療制度を構築する」という主張も支持されると考える。
 しかし、改革をめぐる情勢が流動的であることから、未だ検討すべき課題が残されている。
 たとえば、新たな高齢者医療制度の創設は公費投入の割合と、現役世代の負担を保険料として納付させることについての合意形成に極めて困難が伴うと考えられる。
 なぜなら、新保険料を納付するとなると、健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険とさらに盛り沢山となり、実感として負担が大幅に増加することになり、コンセンサスを得ることが出来るかという疑問が残る。拠出金が廃止されるのだから健康保険料が大幅に引き下げられる保障があれば、それは容易だと思うが・・・。
 それよりも「いっそのこと新高齢者保険と介護保険とを一緒にした総合高齢者保険制度を創設したらどうか」という意見もある。いずれにしても全ての組合がイニシアティブを持つためにも、みんなで考え、検討し、制度改革に向けて頑張るしか道は開けない。
(進)