広報誌「かけはし」
■2001年4月 No.355
平成13年度事業計画と予算決定
   平成12年度第2回の大阪連合会保健婦連絡協議会総会を3月22日、健保連大阪中央病院13階大会議室で開催。総会のあと、大阪府立こころの健康総合センター診療課長の漆葉成彦氏が「上手に眠ってイキイキ生活〜睡眠障害の事例を通して学ぶ〜」と題して講演をした。
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●各議案は多数で可決  
   総会の冒頭で会長の沖中奈美子氏が、「財政面など医療に関しても厳しい時代を迎えた今、予防医療はますます重要である」とのあいさつがあり、続いて保健共同事業委員会委員長の河野美利氏からあいさつ(別掲)後、議事へ入った。
 第1号議案の「平成13年度事業計画(案)」と第2号議案の「平成13年度予算(案)」では、大阪連合会吉田事務局長から収入・支出予算の提案があり、両議案とも可決した。
 総会後、大阪連合会専務理事の早司欣弘氏が高齢者医療制度の改革について説明した。
議長の沖中奈美子氏
 
各議案は全員の拍手で採択

あいさつ
要 旨
老健拠出金制度廃止を
保健共同事業委員長 河野美利氏
 花のたよりも聞かれるこの頃、明るく希望に満ちたごあいさつをしたいところですが、その心境に程遠いのが、現在の健保の状況です。健保連では長らく健康保険組合の財政の健全化のために数々の提言や働きかけを行ってきましたが、ここ数年何らかの改善・改革があったかと振り返ると残念ながら改悪ばかりが続いています。
 例えば、保険料率の引き上げ。加えて、昨年からスタートした介護保険の保険料負担、2割の自己負担率、また高額療養費の自己負担限度額も引き上げ、被保険者の負担増という政策が矢継ぎ早に打ち出されているのが現状です。健保財政が赤字になるのなら被保険者の負担・患者負担を増やしてでも財政の均衡を保とうという政策がとられているのです。
 しかし、財政はますます悪化しており、附加給付の減額あるいは廃止、保健事業の予算圧縮を行わざるを得ない状況であり、健保組合は老健維持のために負担増とサービスの低下という二重の苦しみを強いられているのです。平成14年度に行われる医療保険制度の抜本改革において、老健拠出金制度廃止などの早期実現を期待したい。

特別講演会  上手に眠ってイキイキ生活
〜睡眠障害の事例を通して学ぶ〜
大阪府立こころの健康総合センター診療課長 漆葉成彦氏

●増加する睡眠障害
  健康な生活のための3大要素は食事、運動、休息=睡眠です。昔は子供は子供で、また大人は大人で何時位には寝るもの、という社会のなかでの慣習がありましたが、社会構造の変化により、睡眠をとれる状況・環境がなくなってきており、実際、睡眠障害は年々増加しています。
 健康な睡眠には、時間と質とリズムが必要であり、なかでもリズムは大切な要素なんです。睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の2種類がありますが、レム睡眠時には脳が活発に働いていますから、その時に起きるとすっきり起きられるのです。ですから、そのリズムに合わせて入眠・起床時間を設定するのです。

漆葉診療課長
   最近、睡眠についてさまざまな事が解明され、「脳や体を休ませる」、「エネルギー消費を抑える」、「免疫を強める」、「学習や記憶を定着させる」と、睡眠にはこのような働きがあることも分かりました。
 睡眠障害には「不眠」、「過眠」、「概日リズム睡眠障害」、夢中遊行や寝言などの「睡眠時随伴症」の4つがあります。まず、不眠についてですが、そのなかにも現象型による入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害と期間による一過性不眠(数日以内)、短期不眠(1〜3週間)、長期不眠(1か月以上)に分類されます。

●不眠症のための行動療法とは
  原因として一番多いのが精神生理性不眠で、この場合は睡眠に対するこだわりをなくすことが治療となります。そのほかの原因としては、神経症や気分障害、精神分裂病などの精神疾患。さらに薬物やアルコール疾患。睡眠呼吸障害など身体疾患があります。
 続いて過眠の原因としては、周期性四肢運動障害や不眠と同じく睡眠呼吸障害など睡眠不足による日中の眠気や逆に周期性傾眠症など睡眠不足と関係しない日中の眠気。その他長時間睡眠者、睡眠不足症候群などがあげられます。
 不眠症の場合、睡眠薬を利用することもひとつの方法ですが、行動療法として「刺激調整法」「睡眠時間制限法」「リラクゼーション」があります。具体的に刺激調整法とは@眠くなるまでふとんに入らない。A休日も含めて毎朝同じ時刻に起床する。B昼寝をしない。C寝床や寝室を睡眠以外の活動に使用しない。Dもし就寝してから短時間(10〜15分くらい)で寝付けなければ、起きて他の部屋に行く。そこでなにか他のことをしていて、再び眠くなったら寝室に戻る。E短時間で寝付けないうちは、Dの行動を何度でも繰り返す。夜中に目がさめてすぐに寝付けない時にも同じようにする。
 次に睡眠時間制限法ですが、@まず、平均の睡眠時間帯のみをベッドに入って過ごすようにする。A週あたりの睡眠効率が90%を超えるなら、週あたり15〜20分ずつベッドに入っている時間を長くしていく。(睡眠効率=総睡眠時間/横になっていた時間×100)。B睡眠効率が80%以下であれば、週あたり15〜20分ずつ短くしていく。CAとBによって睡眠効率を80%〜90%の間で維持する。そしてリラクゼーションとは、自立訓練法などのことですが、以上3つは自宅で簡単にできることですので、ここから始めてみてはいかがでしょう。