広報誌「かけはし」
2001年3月25日 No.354
時評
 ●『がまん』も限界
 

 平成13年度の健保組合の予算編成にあたって、危機感を持った健保連大阪連合会が、いち早く1月末に、傘下の組合に平成13年度の老人保健拠出金と退職者給付拠出金の実態調査を行いました。
 この調査結果を見て暗たんとさせられるのは、両拠出金が被保険者1人当たりにして前年比13%(1万9千円)も増えたということと、両拠出総額が全組合平均で保険料収入の43・2%をも占めたということです。
 これほどの上昇率で、これほどの割合で拠出を強いられて、甘受しなければいけないのでしょうか。
 昨年、介護保険がスタートしたので、老人医療費が減少し、老人保健拠出金も減額していくものと大いに期待されましたが、これも期待ほどでなく、介護保険料の負担だけが確実に増えてしまったといえます。
 さらに深刻なのは、平成12年度に引き下げた老人保健拠出金が不足して、平成14年度に加算されることが確実なことです。拠出金の重圧は増すばかりで歯止めがかからないのです。
 健保組合にとって医療保険制度の抜本改革とは、端的にいえば、拠出金制度を廃止することです。
 拠出金制度が、健保組合に対して、いいかえれば、企業とそこで働くサラリーマンに対して、これほど大きな負担を課すことになるとは、当初、誰も予想しなかったのではないでしょうか。
 あまりにも不公平なこの制度を廃止するのに、遅きに失した感がありますが、平成14年度には、絶対実現させなければなりません。新しい高齢者医療制度は、全国民が公平に負担するものでなければなりません。
 がまんも限界です。これまで「どうせ何もできやしない」と甘く見られている感のある健保連ですが、ここは存在感を示さねばなりません。それには、健保連にとって、車の両輪ともいうべき経営者団体と労働組合との強い連携が不可欠でありましょう。また、組織を上げての運動にするには、組合員一人ひとりにもっと理解してもらい、パワーを高めていくことも必要でしょう。                           (Y・K)