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■2001年2月25日 No.353 |
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変えたいことは何ですか ― ライフスタイルとしての心の健康
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「変えたいことは何ですか―ライフスタイルとしての心の健康―」と題した心の健康教室が1月19日、薬業年金会館で開かれ、あだち健康行動学研究所の足達淑子所長が行動のメカニズムやストレス対処法などをスライドを使ってわかりやすく説明した。 |
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※写真をクリックすると拡大カラー写真がご覧になれます。 |
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●心の健康も習慣行動のひとつ |
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運動をしている人、睡眠を十分とっている人、友人・家族のサポートがある人ではストレスが軽減しているはずです。ストレスは悪いものと決めつけられがちですが、適度なストレスがないと進歩や発展もありません。
現在、約20%の人が眠れないと感じています。不眠は身体的、精神的問題のひとつの兆しですが、これは生活習慣とも関係していますので、生活リズムを適正化することで解決できる場合もあります。
うつ病は誰でもかかる病気です。ですから不眠など早期段階での発見・対応が大切です。 |
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心の健康とは一体何か。それは@自分の感情に気付いて上手に表現、コントロールできる(情緒的健康)。Aとっさの時に優先順位を冷静につけるなど、状況判断と現実的な問題解決ができる(知的健康)。B他人や社会と建設的でよい関係が築ける(社会的健康)。C生きがいを見い出し主体的に生きる(人間的健康)。こうした心の健康は習慣行動のひとつだといえ、習慣は変えることができます。まず、変えたいことを具体的な目標にし行動すること。そしてモニタリングし評価することが大切です。
習慣を変えるための条件としては、「知識」(何を行うべきか、その理由は何か)、「意欲」(そうしたいと望む気持ち)、「技術」(どのように行うか)が必要で、またこれらは相互に作用します。しかし日本の場合、技術の普及・啓発がまだまだ遅れているといえます。
セルフケアのサポートを行うにあたってはその人がどこに問題を感じ、何をどうしたいのか、どの方向に行きたいのかに沿って指導を行うべきです。 |
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●行動はきっかけと結果に影響される |
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注目→理解→受容→記憶→意図→行為。これは教育から実行までの行動連鎖です。行動変化を促すアプローチとしては、インフォームドチョイスや必要な情報の提供、変化への準備性の考慮、そして治療をプロセスとしてみなし周期的に修正することが必要です。
行動はきっかけと結果に影響されます。まず、環境や他者の行動など「外的な刺激状況」、身体感覚、思考、記憶など「内的な刺激状況」がきっかけとなり行動が起き、その結果がその人にとって望ましければ行動は増え、望ましくないものであれば行動は減ります。
これらをふまえて、行動変化を促すアプローチの具体的な手順は、@何が問題なのかを具体的に記述(問題の特定)、Aどんな状況でその問題がどのように現れるかを観る(行動分析、評価)、B具体的な方法を当てはめて実行、C良い結果を維持させることになります。 ストレスの対処法として、「ストレスについての正しい理解」、「健康的な睡眠、運動、食事による心身の健康保持」、「自分にとってのストレスに気づく」、「リラックス」、「現実的思考や問題解決」、「上手な自己主張(社会技術)」、「時間管理」、「気分転換」が挙げられます。
具体的なくつろぎ方のチェックと対処をいくつか例に挙げて紹介すると、「リラックス」に関してのチェック項目では、「睡眠が不足しがち」「自由時間がほとんどない」「ゆっくりした入浴は週3日以下」「残業が週に3日以上」「枕が変わると熟睡できない」。それに対する対処法として「6時間以上の睡眠時間を確保」「30分でも自分の時間を持つ」「休み時間にストレッチをする」「お風呂にゆっくり入る」「テレビを消して好きな音楽を聴く」「呼吸法や瞑想を行う」などがあります。
疾病予防だけでなく労働効率向上にも有効なセルフケアサポートの教育・普及啓発は職域においても今後、重要な課題です。 |
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