広報誌「かけはし」
2001年1月25日 No.352
新年あいさつ
 
皆様、新年明けましておめでとうございます。
 いよいよ21世紀を迎えた訳ですが、現在、わが国では急速に押し寄せる少子高齢化、家族形態の変化、経済成長の鈍化等、社会的構造や経済環境が大きく変化しております。これらは、社会保障の制度にも深刻な影響を及ぼし、世紀の変わり目と併せて、大きな転換期を迎えております。
 健康保険組合が支える医療保険制度につきましても、財政的に崩壊の危機に直面しております。
大阪連合会会長  岡澤 元大
 

 健康保険組合の財政は、振り返ってみますと20世紀最後の年である昨年の決算は、史上最悪の2,000億円を超える赤字を計上しました。これは、老人保健拠出金の大幅な増加によるもので、構造的な問題と認識しなければなりません。
 また、平成12年度も、3,300億円を超える大幅な赤字が見込まれており、個別組合の自助努力では組合経営は成り立たないところまで追い込まれている状況にあるといえます。
 20世紀につくられた最良の福祉制度の一つであるわが国の皆保険制度を、21世紀という新たな時代にどのように引き継ぐことが出来るのか、今まさに国民の叡智が問われているのだと言えます。
 そうしたなか、目新しい動きとしまして、医療、年金、労災、雇用に次ぐ5番目の公的社会保険制度となる介護保険制度が昨年4月にスタートしました。介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支えることを目的とし、いわゆる社会的入院を解消し、老人医療費の適正化を図ることが期待されておりました。しかしながら、現在までのところ、こうした効果は60点しかとれておらない状況にあります。  次いで、健康保険法等改正法案の成立があげられます。私どもは、これを抜本改革への下地がようやく整ったと受け止め、続く一歩を踏み出すために引き続き全力をあげて取り組まなければなりません。
 政府は、平成14年度に抜本改革を実現させる方針を示したものの、現在に至っても、改革の方向性の姿や形は見えてこない状況にあります。これからの1年、医療保険制度はまさに正念場を迎えることになります。
 そこで、私ども健康保険組合では、昨年11月に全国大会を開催し、5,000人が参集のもと大会スローガンを決議しましたが今回の大会には特に、日本医師会と国民健康保険中央会の代表者もお招きして、文字どおり医療関係者が一堂に会し一緒に問題解決に取り組もうと呼びかけました。
 21世紀を迎え、私どもは、今こそ力を合わせて、将来への展望を切り拓かなければなりません。
 皆様におかれましては、様々な機会を通じて身近な方に問題意識を持っていただくよう、広く働きかけることをお願いしたいと思います。
 最後になりましたが、皆様には、昨年6月にオープンしましたすばらしい健保連大阪中央病院を活用していただき、新世紀もお元気でご活躍をされますよう祈念しまして、私の新年のあいさつとさせていただきます。

   
  14年度改革実現に?
 
 日医会長改革作業冬眠に活
   日本医師会の坪井栄孝会長は1月9日の年頭記者会見で、政府が平成14年度を目途としている医療制度の抜本改革について14年度中に実現することは困難との見解を示したが、医療保険制度を継続、安定させるためには14年度までに改革の土台石づくりまでは持っていかなければならないとし、今後、健保連や経団連などの各団体とも精力的にディスカッションを行い、国民的な議論とする構想を示した。
   
 次官発言 失言?放言?or本音
  近藤純五郎厚生労働次官は、1月11日の記者会見で、政府が14年度実施を目指している医療制度改革について「14年度に完結はしないだろう」と述べ抜本改革の完成には時間がかかるとの認識を示し、「抜本改革と言ってもピンからキリまである」としたうえで、眞の意味での改革は「国民が少子高齢化の影響を肌身で感じるまで、できないのではないか」と語った。
   
  健保連 14年度実現を直談判!
   
   健保連下村副会長は1月12日近藤厚生労働次官と会見、同省が医療保険制度抜本改革について、従来の方針どおり平成14年度の改革実現に向けて努力をしており、今後とも積極的に検討を進めることを確認した。その上で、今後の問題として、今回報道されたような改革への疑念を生むようなことが起きないよう、対外的な発言等については明確であるとともに慎重な対応をとられるよう申し入れた。
 なお、改革問題については、同日の厚生労働大臣の記者会見においても、14年度改革法案提出の方針に変更はないことが確認されている。