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●老人医療費の負担を考える |
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今国会で内閣不信任決議案が提出されるなど混乱が続き、現在審議中の「健康保険法等改正案」の成立が微妙な状況になった。本稿が掲載されるころには決着しているであろうが、先の国会に続き、この「健保法等改正案」はよほど憎まれているのか、すんなりと生まれそうにない。
この法案は「医療保険の抜本改革」につなげる重要法案との位置づけであるが、法案の中身は一般保険料率の上限の見直し以外は小手先だけの改正にとどまり、これが成立したとしても、平成14年度の本格的な改革に向けた礎になりうるかどうかは大きな疑問である。
そもそも医療保険の抜本改革は、膨らみつづける老人医療費について、本人負担も含めて国民全体でどのように負担をしていくべきか、を決断することが最も重要な論点ではないであろうか。
現在は、健康保険組合が拠出金として多くの負担を強いられており、健保組合の財政を大きく圧迫しているのはご存知のとおりである。
介護保険制度の導入により、老人医療費の削減はある程度期待できると思うが、医療保険から介護保険に移るにはまず本人の意思を尊重すべきで、無理強いすべき事ではない。
また、医療・介護の線引きも明確にできない面もあり、長い目でみれば、老人医療費の削減には結びつかないような気もする。超高齢化社会を迎えようとしている今、根本的な論議が欠けているのではないかと思う。
それでは増え続ける老人医療費をどのように負担していけばよいのであろうか。
老人保健制度は、老人を社会的弱者として位置づけ、この人たちを国民全体で分担して支えようとする制度である。国の財政状態が良ければ、国が全て面倒をみることでもよいが、日本国も借金まみれの財政状態で、とてもそのような状況でないことは明白である。
制度創設の当時は、老人は収入面でも相対的に低く、確かに社会的には弱い立場として位置づけられるべきであったと思う。
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しかしながら、現在の健保組合の財政を支えている被保険者と、老人と呼ばれる人達を比較して、おしなべて老人の方が弱い立場にあるとは言えないのではないか。もちろん個々人の状況によっての相違はあるが、保有している財産、可処分所得等々を考慮すると、無視できない規模で裕福な老人が存在していることも事実である。
国民的合意が得られるなら、消費税率を上げて福祉目的税化し、老人医療や国民年金の費用に充て、物品を購入することで、老人にも相応な負担をしてもらえるならそれに越したことはない。しかし、その前に裕福な老人についても社会的弱者との観点で、医療費についてほとんど負担を求めないのはどう考えても逆の不公平になっているのではないかと考えてしまう。
大多数の国民が納得できる制度が早く創設されることが望まれる。
(第1地区 K・A) |
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●改革、2年後も夢のまた夢? |
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IT関連などごく一部の業種を除いて、景気のいい話はめったに聞かれない昨今ですが、景気の悪い話なら、健保組合職員にさせると人後に落ちないはずです。
それにしてもひどい話です。昨年度はなかなか決まらない介護保険に振り回され、やっと保険料徴収の準備がととのって「さあこれから」というときに改正健保法案はあっさり廃案。一般企業なら納期が遅れると、その分、何らかのペナルティがあるのがふつうです。介護保険料の場合はそれがないばかりか、納付のツケを何の罪もない、むしろ被害者の健保組合に尻拭いさせるとは。理不尽このうえもありません。これだけ苦しんでいる健保組合の状況をしかるべき立場の人たちはどこまでわかっていてくれるのか、一度、頭の中を覗いてみたい思いです。
人間でいえば、すでに病気が進行して寝たきりになっている健保組合があちこちにあります。まだ病気が出ていない健保組合にしても「明日は我が身」と他人事とは思えないはずです。この危機感がどこまで伝わっているのだろうかと切歯扼腕、隔靴掻痒の念を禁じ得ません。
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「医療保険制度の抜本改革は10年前から聞く言葉じゃあないですか」という古参職員の話を聞くにつけ、医療保険制度がいかに長い間、日本医師会の横暴や小手先の選挙対策に利用され、翻弄され、ほったらかされてきたかをつくづく思い知らされます。たぶんこのままの状態では、平成14年度からの抜本改革も夢のまた夢でしょう。
そして来年も再来年もその次の年も、諸先輩がこつこつ蓄えてきた積立金が拠出金にむしばまれ、それで足りない分は被保険者や被扶養者に愛され続けた保養所や体育施設を売却して充当するということを続けなくてはならないかと考えると、気が遠くなりそうです。
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あと少しで今世紀も終わりますが、現在の医療保険制度がいつまでも「20世紀型」のまま変われないのであれば、それはすなわち日本という国そのものが変われないということだと思います。医療保険制度の硬直化はまさしく日本を取り巻く諸制度の硬直化の象徴と言えます。健保組合制度を含む社会保険制度が「20世紀の遺物」とならないことを願わずにはいられません。
(第2地区会 Y・M) |
●21世紀をがんばろう! |
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いよいよ21世紀が目前に迫ってきた。20世紀から21世紀への かけはし の真ん中で、皆さんとともにミレニアムの夢を見られるという巡り合わせを喜びたい。
21世紀の夢が正夢になるかどうか、人に頼らず自らの努力でたぐり寄せたいものであるが・・ウツラ、ウツラ、グー、グー・・「 健康日本21の実践で、被保険者はもとより被扶養者の生活習慣はすっかり変わり、メディカルフロンティアの成果とも相俟って壮年層の死亡や疾病は大きく減少、高齢者も健康寿命を謳歌して社会に貢献、保険者機能も随所で発揮されて健保組合の財政も安定し、保健事業のニーズ発掘に苦悩し、理事長に本年度も保険料率を引き下げたいのですがとお伺いを立てている」というところで目がさめた数日早い初夢でありました
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目がさめたところで、ちょっぴり期待したいのが中央省庁の一府十二省庁への再編統合による 厚生労働省 の誕生である。1+1>2なる図式でもって、「官主導」から「政治主導」と言われている中で、21世紀の斬新なビジョンをかかげ、強力なリーダーシップを発揮して、先ずは、医療・年金・福祉等を総合的に見直し、世間(正義)が納得し、21世紀にも通用する健全なる社会保障制度を確立してもらいたいものである。その中でも医療保険制度の抜本改革は最重要課題であることは言うまでもない。
さらに、目がパッチリと開いたところで、現(うつつ)に戻ると、平成13年度の予算編成をどうしていくのか頭の痛い仕事が待ちかまえている。最大の悩みは耳にタコが出来たであろう老人保健拠出金の問題である。わが健保組合も平成10年度はここ数年では最低の拠出金もあって黒字となり、平成11年度は、今度は逆に過去2番目の高額拠出金が影響して大幅赤字となるなど予算・決算が 霧の彼方の見えざる手(半分位?) によって翻弄されているのが実情である。平成13年度もこの 見えざる手 に縛られながら―介護保険制度の導入で多少は縛られ方も緩めになるものと早合点しながらも―保険者機能・保健事業・保険料率等々といった面で、良薬では間に合わずカンフル注射をも覚悟してかからねばならないものと悩みは尽きない今日この頃である。
それでは皆さん!健保組合の健康寿命をめざして21世紀をがんばろう
(第3地区F健保 K・T) |
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