広報誌「かけはし」
2000年12月25日 No.351
存亡の危機打開への総決起
-平成12年度健康保険組合全国大会-
 
▲決議文採択
 
 平成12年度健康保険組合全国大会―決起大会―は、11月30日(木)東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催され、全国1,761健保組合の代表5,000人が参加、存亡の危機打開に向けて組織の総力をあげて取り組む決意を表明、熱気あふれる大会となった。(大会の詳細は本部発行「健保ニュース」12月上旬号参照)
 大会では、「決議」とともに、平成13年度政府予算編成に対する「緊急要請」も採択された。
 大会終了後、健保連本部役員、都道府県連合会代表が、自由民主党、民主党、公明党、自由党、保守党および関係国会議員、厚生省、大蔵省などに対する陳情要請活動を行った。
 
決   議
現在、我が国は急速におし寄せる少子高齢化、家族形態の変化、経済成長の鈍化等、社会的構造、経済環境が大きく変化している。これらは社会保障の分野にも深刻な影響を及ぼし、医療保険制度は財政的に崩壊の危機にあり、抜本改革が不可欠の状況にある。
 健保組合は、平成十一年度に史上最悪の二〇〇〇億円を超える赤字を計上し、老人保健拠出金は対前年度比一〇%増と、一人当たり医療費が大幅に増える一方、保険料収入総額は前年を下回った。
 このような構造的赤字体質の拡大に加えて、健康保険法改正の遅れや、介護保険制度への移行が十分でないことなどにより、組合財政は八方塞がりで、まさに健保組合は存亡の危機にある。
 その主な要因は、政府が今年度から実施すると公約していた抜本改革が先送りされたことによるものである。
 このままでは、増大する医療費の重圧に耐えきれず、健保組合のみならず医療保険制度全体が崩壊の途を辿ることになり、国民医療の確保に重大な支障を来す結果となる。不合理な拠出金の廃止、公費負担率の引き上げ等の高齢者医療保険制度の改革はもはや猶予できないところまできている。
 改革は、まず国民が公平に負担し、保険本来のあり方に向かうことが全ての出発点であり、生涯の医療を保障し、「突き抜け型」の考え方を活かした社会保険方式による新たな高齢者医療保険の創設を基本とすべきである。
 しかしながら、新たな高齢者医療保険制度を創設し、負担の仕組みを改善しても、現状のような老人医療費の高い伸びが続く限り、早晩、財政的に行き詰まることは必定であり、老人医療費の適正化は緊急の課題である。急増する医療費の抑制に向けて、診療報酬体系、医療提供体制等の不合理、矛盾を改革していかなければならない。
 政府は、平成十四年度の改革実現の方針を明らかにされたが、現在までその姿、形は具体的に見えてこない。これらの諸改革の基本的考え方が早急に示され、平成十四年度の改革実施が確実なものとなるよう強く要請する。
 なお、平成十三年度予算においても、公費増額の方向に沿って拠出金等の減免を含めた十分な措置がとられるべきである。
 我々健保組合は、厳しい今こそ力を合わせ、自主、自立の保険者として、従来にまして事業努力を行い、国民の信頼に応えていく決意である。
 よって、我々は、ここに次の事項を決議し、組織の総力を挙げてその実現を期するものである。
一、拠出金廃止、公費拡大による公平な高齢者医療保険の創設
一、定額払いを基本とする合理的な診療報酬体系の構築
一、合理的な薬価の設定と薬剤使用の適正化
一、情報開示を基にした患者中心の医療提供体制の確立
一、国民の信頼に応える保険者機能の強化
一、平成十三年度予算における健保組合助成の大幅増額

平成十二年十一月三十日     存亡の危機打開総決起大会
大会スローガン
一、拠出金廃止、公費拡大による公平な高齢者医療保険の創設
一、定額払いを基本とする合理的な診療報酬体系の構築
一、合理的な薬価の設定と薬剤使用の適正化
一、情報開示を基にした患者中心の医療提供体制の確立
一、国民の信頼に応える保険者機能の強化
一、平成十三年度予算における健保組合助成の大幅増額
▲関係団体勢揃い
 
大会次第
(敬称略)
開会の辞
  議 長 池田志郎(川崎重工業健保組合理事長)
議長団選出および挨拶
  副議長 川本一之(中国新聞健保組合理事長)
基調演説
  健保連会長 千葉一男
厚生省挨拶
  厚生総括政務次官 福島 豊
国会代表メッセージ
  自由民主党 熊代昭彦(衆院)
民主党 金田誠一(衆院)
公明党 桝屋敬悟(衆院)
自由党 塩田 晋(衆院)
保守党 井上喜一
関係団体挨拶
  日経連 福岡道生(専務理事)
連 合 鷲尾悦也(会長)
日本医師会 糸氏英吉(副会長)
国保中央会 北郷勲夫(理事長)
緊急情勢報告
  健保連副会長 下村 健
緊急動議
  関東地協代表 中村孝夫(日立国際電気健保組合常務理事)
意見発表
  東海地協代表 福村範生(三重県自動車販売健保組合常務理事)
四国地協代表 重松淳一(大王製紙健保組合常務理事)
決議
  清水繁生(東京都小型コンピュータソフトウェア産業健保組合専務理事)
緊急要請
  大会運営委員長 A永幸彦(松下電器健保組合顧問)
閉会の辞
  大会運営副委員長 千葉滋胤(千葉銀行健保組合理事長)
 
▲大阪の参加者
平成13年度政府予算編成に対する緊急要請
全健保組合を対象に緊急調査を行った結果、介護保険が実施されたにもかかわらず、平成13年度の老人保健拠出金は1,400億円以上の増加が予想されており、健保組合の予算編成上の大きな問題となっている。
 また、介護保険料は全くの負担増となり、さらに13年度にはその引き上げが予定されている。
 景気回復がいまだ確定的でない状況で、健保組合がこのような負担増を前提に予算編成を行うことが極めて困難であることは明白な事実である。政府は13年度政府予算編成に当たって、次の項目を実施されるよう強く要請する。
 
【拠出金負担増に対する緩和措置】(負担増額約2,000億円)
 介護保険制度への移行の遅れに伴う保険者の保険料負担増は、健保組合においては、12・13両年度で約500億円以上と推計され、緊急調査による老健拠出金の増1,400億円と合わせると、約2,000億円の負担増となる。
 ついては、国庫負担率を引き上げるという前倒しの考え方に立って、特例的な国庫負担措置を講ずること。
【財政窮迫組合に対する助成強化】(所要額約300億円)
 財政窮迫組合に対しては、抜本改革が実現されるまでの間、助成の強化を行うべきであり、平成13年度において、補助条件の緩和を含め約300億円の財政措置を確保すること。
【介護保険制度の運営の現状と今後の展望の明確化】
 介護保険制度について、療養型病床群の移行遅れの解消対策を含め、制度の運営方針を明確にするとともに、老人保健制度との関係も考慮し、制度運営の実態に即した介護納付金の設定等の対策を講ずること。

平成12年11月30日
存亡の危機打開総決起大会
(平成12年度健康保険組合全国大会)
 
国会陳情(大阪連合会関係)
対象議員 陳情担当者
民主党
 平野博文 (衆・11区)
大阪自動車販売店 南場常務理事
三洋電機連合 若林専務理事
クボタ 河野常務理事
松下電器 越後専務理事
       松本常務理事
       山村理事
公明党
 福島 豊 (衆・6区)
自民党
 中馬弘毅 (衆・1区)
大阪府建築 木割常務理事
丸紅連合 森脇常務理事
近畿酒販 古川常務理事
日本生命 三隅常務理事
日商岩井 川口常務理事
民主党
 床伸二 (衆・12区)
民主党
 中野寛成 (衆・8区)
サントリー 岩井常務理事
東洋紡績 楠田常務理事
大阪産業機械工業 奥西常務理事
ダイハツ 小川常務理事
ダイヘン 政岡常務理事
健保連大阪連合会 早司専務理事
西川きよし (参)
公明党
 久保哲司 
(衆・近畿比例代表)
トランス・コスモス 横田常務理事
大阪工作機械 山内常務理事
大阪金属問屋 西川常務理事
ダイセル化学工業 石原常務理事
大阪府倉庫業 辻村常務理事
健保連大阪連合会 吉田事務局長
民主党
 肥田美代子 
(衆・近畿比例代表)
(敬称略)
 
中野 寛成 議員
福島 豊 厚生総括政務次官
各議員方への陳情風景(大阪府関係)
平野 博文 議員
樽床 伸二 議員
中馬 弘毅 議員秘書