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11月20日、野党から提出された内閣不信任案は、意外な結末で否決、政局の混乱は一応回避され、ギリギリの審議日程で成立が危ぶまれていた健保関連法改正案は、原案どおり可決、13年1月1日から施行されることになった。また、「新たな高齢者医療制度等の創設については、平成14年度に必ず実施すること」を柱とする15項目が付帯決議された。古来、「不積 歩、無以致千里」( 歩積マザレバ、以ッテ千里ニ致ル無シ)と言われる如く、とりあえず抜本改革へ半歩を踏み出したことをまずは良しとしなければならないだろう。
国会審議のなかでも政府は、制度抜本改革は14年とくりかえし答弁している。名実ともに実現するには、利害相反する改革の調整に手間取り、短期間の日程からみて困難が予想されるが、これからの1年間が正念場である。
さて、健保組合全国大会「存亡の危機打開総決起大会」は、奇しくも臨時国会で健保関連法が成立する正にその日、11月30日に開催された。
全国各地から5,000人が参集するなか、厚生省 政党代表者、関係団体として、日経連、連合のほかに、今回初めて日本医師会と国保中央会からも代表者が出席して来賓としてあいさつし、文字どおり医療関係団体代表が一堂に会するという、有史以来の有意義な大会となった。各代表者からのあいさつのなかで、制度改革についての意見が熱っぽく述べられたが、日頃利害対立の日医代表の意見も含め、健保連の改革路線と比べても大極的にみて共通点も多く、この大会が対話の第一歩として、今後に連動することが現実味を帯びたものとして、参集者に共感を呼んだのではなかろうか。このうえは、下村副会長が緊急情勢報告のなかで述べたように、是非とも関係四団体と精力的に協議を重ね、小異を捨て大同につく意見の集約こそが、制度改革についての国民的コンセンサスの形成にも連なるのではなかろうか。
この大会では、ブロック代表からの緊急動議により、大会スローガンのほかに、来年度政府予算編成に向けての具体的な要請が緊急にまとめられ、政府および関係国会議員に手分けして陳情活動を展開し、健保組合の窮状を強く訴えた。
このほかブロック代表によって、組合財政の困窮が次々述べられたが、制度の改革はもとより各健保組合は、目前の財政収支がどうなるかで精一杯なのである。来年度財政予測が11月28日発表されたとおり、本年度を大幅に上回る過去最悪の状況が見込まれている。本大会で緊急要請をした来年度での大幅な公費投入は、14年度改革の前哨として是非とも実現してもらいたい。
世の中は、新しい世紀を迎えるということで、祝賀気分もあるなかで、こんな世知辛いことばかり述べて恐縮だが、なんとしても抜本改革という長蛇を逸してはならない。拙速は慎まなければならないが、焦眉の急であり、13年巳歳を実り多い年としたいものである。 (Y・H)
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