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シドニーオリンピックは数々の名勝負と記録と感動を残して閉幕した。明るく陽気で、自国をラッキー・カントリーと自称するオジー達(AUSSIE:オーストラリア人)。その面目にかけた五輪だけあって熱気と盛り上がりがあり、大成功をおさめた。このような大きなスポーツ祭典では、多くの関係者の努力と資金の支え、そしてとりわけ"市民レベルでの熱意とサポート"が不可欠である。
さて、五輪運営は我々の目指す医療保険制度抜本改革に示唆するものがある。平成11年度、全健保組合収支差引は2,033億円の赤字。過去最大となった。とりわけ老健拠出金を中心とした各種拠出金合計が前年度に比べ2,070億円増加しており、これは経常収支の赤字額にほぼ匹敵する。なんと保険料収入の40%が拠出金に消える。法定給付と合わせると保険料収入の95%。健全な組合運営が極めて困難なこと言うまでもない。
このような深刻な制度危機を救う手だては、制度の抜本改革以外に無い。11月2日、抜本改革への一歩と位置づけられた健康保険法等改正案が、難航の末衆議院本会議で可決され、参議院の審議を経て成立する見通しとなった。(11月6日現在)。これからは中身ある抜本改革の準備を急がねば14年度実施に間に合わない。
先般健保連は「平成14年度医療保険制度改革の実現のために」と題する意見書を公表した。主文は(1)今後の改革の方向(2)増嵩する医療費問題への対応(3)高齢者医療制度の創設(4)当面の対策の4章からなり、国民の医療改革への関心を高め、改革推進を期待し考え方をとりまとめたものである。また(4)当面の対策では「平成13年度政府予算では、拠出金等の負担が限界を超える組合に対しては、減免等を含めた十分な予算措置がとられるべき」ことを強調している。
我々の主張や職場のナマの声は、犬の遠吠え、そよ風のささやきに終わってはならない。11月30日の健保組合全国大会をもとに、関係者、読者一人一人、それぞれの持ち場で、平易な言葉で、健保危機のありのままを大声でアピールし、議論しよう。今一番必要なことは抜本改革への道のりで、3,300万人の健保加入者を中心とした"国民レベルの改革への熱意、そしてサポート"である。4年後のアテネ五輪の頃までには、健保財政危機は遠くに去ったと復活宣言したい。「めっちゃ悔しいです〜」とは断固言えない。(K・Y)
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