広報誌「かけはし」
2000年10月25日 No.349
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●悪戦苦闘、担当してこの2年
   健保組合業務を担当するようになり、この9月で丸2年になりました。思えば、この2年間は本当に目まぐるしい日々の連続でした。まず、最初に取り組んだのが、なんと「保険料率のアップ」でした。毎年大幅に増加する老健拠出金等による赤字に対応するため、別途積立金はゼロになり、法定準備金保有率も100%を下回る状況では、保険料率をアップせざるを得ませんでした。
 翌年2月の組合会に向けて、理事会への提案と承認、事業主への説明、さらに保険指導課(当時)への保険料率変更に関する文書の提出、と悪戦苦闘の連続でした。
 年が明けて平成11年度予算(案)の作成にかかり、組合会を開催してどうにか正式に承認を得ることができましたが、この半年ほどの間は聞き慣れないさまざまな専門用語を覚え、見慣れぬ書類を作成するのにかなり苦労しました。
 圧迫された組合財政に関し、同年3月末に健保連大阪連合会の「健保組合財政危機突破決起大会」に参加し、7月には「老人保健拠出金延納」の統一行動にも取り組みました。そして11月末の「医療保険改革実現決起大会」と銘打った健康保険組合全国大会に参加しましたが、医療保険制度抜本改革はまたもや先送りされて、強い落胆と危機感を覚えました。
   平成12年1月末にやっと開催された予算説明会も歯切れの悪いもので、介護保険料率は2段階適用となり、ようやく平成12年の予算案や介護保険料率の設定をして組合会の承認を得ました。この間には昨秋申請した財政窮迫組合交付金に対するヒヤリングもあり、慌ただしい毎日でした。
 4月から介護保険制度がスタートしましたが、当組合の平成12年度予算は前年度に保険料率をアップしたにもかかわらず、実質収支差引額で赤字の見込みです。
 このような厳しい財政状況は当組合だけではなく、多くの健保組合が直面していると思いますが、健康保険法改正案はご承知のように衆議院の解散・総選挙がらみで廃案となり、納付猶予がありましたが、これも焼け石に水でお先真っ暗な状態です。
 臨時国会は9月21日に召集と報道されましたが、どういうわけか健康保険法改正案についてはあまり報道されずに心配しました。「厚生省 改正健保法施行 来年1月1日めざす」との新聞記事を見たときには、やれやれと思う反面やはり来年にずれ込むのかという複雑な気持ちでした。この「かけはし」10月号が発行される頃には、すでに改正法案が成立し、抜本改革に関しても明るい展望が開けていることを願ってやみません。
(第1地区 M・T)
   
●健康日本21と予防事業
   病気を予防する方法には3つの段階がある。病気の原因をもとから断つ一次予防、病気を早期発見、早期治療する二次予防、病気にかかった後の社会的不利を予防する三次予防である。
 今年4月にスタートした国の「健康日本21」計画は、2010年を目途に、一次予防を強力に推し進めていこうとする施策である。たばこ、アルコール、栄養・食生活などについて、具体的な数値目標を掲げて健康づくりに取り組む。
 大きな柱のひとつであった「たばこ半減」という目標が業界の圧力で撤回されたことから批判は出たが、健康施策として数値目標が打ち出されたのは初めてのことであり、一歩前進には違いない。
 計画は「広く関係団体等の積極的な参加および協力を得ながら行う」とされており、その総論の中に、健保組合など保険者の役割として「被保険者等の健康の保持、増進を目指した一次予防中心の保健事業の充実・強化や医療機関との関わり等保険者機能の強化が期待されている」と記載されている。
 これまでも保険者は、健診やドックを中心とした予防事業に力を注いできた。ただ、二次予防に主眼をおいてきたため、サービスの提供は断片的になりがちだった。これからは、健診後の保健指導、健康教育、健康相談など、継続的な予防活動にも積極的に関わっていく必要がある。一次予防は、結果が出るまでに長期間を要するが、費用対効果は極めて高いと評価されている。
 私たち大阪府管工事業健保には附属診療所があり、被保険者に対して、一次予防から健診、疾病管理までの包括的な健康管理を長年行い成果をあげてきた。昨年からは、一次予防をさらに進めるために、たばこ対策、肥満対策を開始した。
 ここ数年、健保財政の厳しい状況下で、多くの組合は保健事業の圧縮を余儀なくされている。こうした時期にこそ各組合がこぞって、効果的な健康づくり対策に取り組む必要があるのではないだろうか。
(大阪府管工事業 田中)
   
●やっぱり拠出金を何とかして
 
 長引く景気低迷の中にあって母体企業では、「大幅な人員削減」や「事業所の統廃合」等の対策が講じられ、その結果は当健康保険組合にとっても非常に厳しいものになっている。
 まず被保険者数は平成5年度末の5,126人をピークに年々減り続け、11年度末では4,307人と820人もの減少になっている。特に11年度は321人という大幅な減少で「人員削減策」の影響がもろに現れている。ただ、任継被保険者数だけは、平成5年当時の99人から大幅に増えて309人に達しているのが特徴的である。
 次に、保険料算定の基礎となる「標準報酬月額」の伸びは鈍く、今年度は予算値の36万5千円を下回る36万3千円の実績であった。実績値が予算値を下回ったのは初めてのことである。
 一方、保険給付費(医療費)は、ここ数年横這いで被保険者数(含被扶養者)の動向を反映した額になっている。
 しかし、老人医療費だけは高い伸びを示し、「老人保健拠出金」の増嵩となってはねかえり財政を圧迫している。ちなみに、平成5年度5億8,600万円(保険料収入の37%)だった「拠出金」が平成11年度は8億8,500万円(保険料収入の52%)の負担になっている。
正に危機的状況である。
 そんな中、これまでは少しでも財源を見出そうとして
     @「特別保険料の徴収 10/1000」
     A「附加給付の見直し」
     B「直営保養所の閉鎖2ヵ所」
等の対策を講じてきたが、「被保険者数の減少」・「標準報酬の伸び悩み」といった構造的要因は解消されず平成5年度以降赤字が継続している。この7年間の経常赤字累計は9億4,400万円にのぼり、これを補うために取り崩した別途積立金は8億6,000万円に達している。
 何のことはない「拠出金」を納付するための積立金だったことになる。自助努力だけでは如何ともし難いこの制度の見直しを、なんとか実現して貰いたい!
何とか拠出金に上限を設けることは出来ないのだろうか?勝手な計算だが、仮に保険料収入の30%を上限とすると、この7年間で13億6,000万円の拠出金が軽減される計算になる。その積立金も12年度には底をつきいよいよお手上げの状態になりそうである。せめて準備金のあるうちに、債務超過に陥らない間に、自主解散の手立てでも考えようかナー。
 以上が当健保組合の現状である。今更泣き言を言うつもりもないが、先送り、先送りされる制度改革の遅れが命取りにならなければと思う今日この頃である。
(第3地区 I・O)