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■2000年9月25日 No.348 |
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「院内感染等の防止策は?」 |
地元の病院でセラチア菌とみられる菌が原因で、入院患者の約半数7人が死亡したというショッキングな事件があり、驚くとともに不安な気持ちでいっぱいです。点滴による院内感染や、海外では手洗い用のせっけん、血液製剤等から感染した事例もあるといいます。病院に行く機会も多いので、ぜひ注意事項など教えてください。
(堺市・60歳男性) |
<答える人>
健保連大阪中央病院
副院長
南 雄三 先生 |
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院内感染等の防止対策にご協力を! |
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病院には、日頃多数の感染症の患者さんが精密検査と治療を求めて受診されます。
こうした受診者の安全と診療効果の向上のためには、病院は本来、清潔(感染症の管理上、安全)でなければなりません。しかし、病院という医療現場では、いろいろな感染症の原因となる菌が外来受診者とともに院内に持ち込まれたり、医療従事者や入院患者さんによって院内に拡散する可能性も残念ながら否定できません。 |
また、感染症の治療に際し、いろいろな抗生物質が投与される結果、抗生物質に抵抗力を持った菌種(耐生菌)が発生することもあります。
一方、もともと重症の方々や、治療や処置により免疫力の低下した患者さんが多く入院しており、院内感染の成立しやすい状況が慢性的に存在しているといえます。
こうした理由から、思いもかけぬ院内集団感染事例が発生し、社会の不安と不信の眼が病院に向けられることとなっています。
ご質問にあります事例も、恐らくは、免疫力の低下した患者さんや高齢の入院患者の方々に、通常、感染経路となり難い経路(点滴処置や手洗いなどの行為)を介して院内感染をおこし、重大な結果となった例とも考えられます。
こうした院内感染を防止する目的で、各病院とも、院内感染防止対策委員会やMRSA委員会などが毎月定期的に行われ、院内各部署での細菌検査や感染症患者さんの早期確認や適切な治療と管理のための分析や対策に努めています。病院内の清掃も頻回に行われます。
しかし、病院が感染症の診断と治療をその主たる業務の一つとしている現実から、病院に受診いただく方には、病院がこうした感染症に対する拡散防止に大きな注意と努力を払っていることをご理解いただくとともに、病院が残念ながら感染症の原因菌が多く持ち込まれる場所でもあることを重ねてご承知いただきたいと思います。
院内には、無菌手術室のように極めて清潔な領域から、市中同様またはある意味では極めて危険な場所もあり、乳幼児など抵抗力の弱い方々が院内でも床面などに不用意に触れられることのないよう注意をお願いします。
また、受診やお見舞い等で病院においでいただきます際には、お越しの際と病院を出られます時には、うがいや、流水等による十分な手洗いを励行いただき、院内掲示や職員の注意にもご協力をお願いします。 |
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