広報誌「かけはし」
2000年7月25日 No.346
時評
 ●新政権は直ちに医療保険抜本改革に着手を
   小渕首相の急逝、衆議院の解散、そして総選挙という流れの中で、わが国の中枢機能が全面的にストップした状態が続いた。我々の健保関連で言えば、選挙が近づいたという段階で、早々に「健康保険法等改正案」は廃案が決まったも同然になってしまった。政治家にとって、選挙という洗礼ほど怖いものはないのはわかるが、口には若干苦い良薬を調合する骨太の政治家が少ないということであろうか。  「二階に上げておいて、梯子をはずす」という諺がぴったりの「健康保険法改正案」の廃案で、介護保険料の徴収が不能となった全国の健保組合がどれほど混乱し、難渋することになったか、国会議員の先生方はわかっているのだろうか。  この「健保法改正案」は、健保組合にとって必ずしも良薬とは言いきれないものであったのに、当面のことを考えると成立してもらわないと困るということで、成立に向け懸命に運動をしたのにもかかわらずである。  さて、衆議院総選挙の結果は判明し、新政権も発足した。  新政権は、「健保法改正案」をすぐ成立させるのはもちろん、先延ばしになった「医療保険の抜本改革」にも直ちに着手してほしい。平成14年実施に延びたといえ、今年中に目途をつけるべく急がないと、再度の先延ばしになるおそれがある。それでは政治や行政への不信感を増幅させるだけでなく、健保組合は壊滅してしまう。  選挙にあたっては、各党とも医療や年金など社会保障制度に力点を置いた公約が掲げられていた。高齢者医療、介護保険、抜本改革、消費税などの語句がおどっていたが、詳しい中身はわかりかねた。しかし、現状のままでは成り立たなくなっているとの認識は共通しているはずだ。党派を超えての取り組みに期待したい。
 ●健保連の政治活動に威力を
   今回の衆院選では、健保連と表裏一体の関係にある健康保険政治連盟(健政連)を中心として本腰を入れた選挙向け取り組みが行われた。健保連のような組織での政治的取り組みには難しい面もあるが、健保連の主張を理解してもらうには、やはりある程度の政治力が必要ということはこれまでの経緯からも明らかである。健保連には資金力はないが、バックには2000万を超える票田がある。  今回は、本部が13人、大阪では7人を重点応援候補者とした。その結果は本部が9人、大阪では5人が当選した。現行の小選挙区制では、1票でも2票でも貴重な票となる。健保連の応援効果はかなりあったはずである。今回のような取り組みは初めてのことでノウハウもなく、事務方のご苦労も大変であったと思われる。今後は健保連という大組織をもっと効率的に活用し、威力あるところをアピールし、我々の主張に耳を傾けてもらい国政の場に反映させてもらうようにしたいものである。           (Y・K)