時評
データヘルス計画の見直し時期にあたって
現在、第3期データヘルス計画の2年目に取り組んでいるが、2026年度の計画を見直す時期にもあたる。24年度の実績報告を踏まえた評価を行うことで、保健事業を実施する意義や効果を確認することができる。また、事業の目標達成度、成功・阻害要因等を把握することで、次からの計画作成に活用することができる。
年度ごとの評価、見直しのポイントとして、①アウトプット・アウトカム指標で目標の達成度を確認②達成および未達成の要因を振り返る③評価を踏まえた事業計画の見直しを行う――が考えられるだろう。
評価指標には「健康課題の解決度を測るアウトカム指標」と「保健事業の実施量を測るアウトプット」がある。両者を区別すると、複数年にわたって取り組む健康課題の解決について進捗管理が容易となるのではないか。現在は、23種の共通評価指標が導入されており、保健事業を一律の基準で評価することが可能となっている。共通の評価指標を用いるメリットとして、実績を客観的に評価できることや、効果的な保健事業のパターン化につながることが期待できそうだ。また、各健保組合の形態や職種、地域などの特徴に応じた評価指標を立てることで独自性が生まれ、より一層、保健事業を際立てられるかもしれない。
目標の達成度を確認したあとは、事業の振り返りを行う。実施状況や実施時期、目標達成の成功要因、課題および阻害要因を整理することも必要だろう。目標が未達成の場合には、保健事業の構造やその過程について確認し、課題を抽出することとなる。
最後に、それら評価を踏まえて、次年度計画について見直しを行う。例えば、特定保健指導の参加機会の拡大を検討する場合、対面実施への参加困難者にはICT方式での参加を促す。被扶養者の特定保健指導実施率向上を検討する場合は、タブレットを自宅に送付し、保健指導が実施できる環境を整備するなどが考えられる。あくまでも、事業の目標と実績を確認したうえで、可能な範囲での改善を検討することが重要である。
今年度も、全国の健保組合を対象とした健保連都道府県連合会主催によるデータヘルス研修会が、東京連合会を皮切りに、宮城、大阪、広島、富山、福岡の順に開催されている。厚労省や支払基金などの説明や好事例の紹介、健保組合同士で交流できる場も設けられている。過去に開催された研修会の参加者による評価は総じて高いと聞いているため、計画見直しについて悩んだり迷ったりしている健保組合の方は、参加することやアーカイブ配信をご覧になるなど検討されてはいかがだろうか。
(M・S)


