けんぽれん大阪連合会

けんぽれん大阪連合会 会員組合員専用サイト 要認証
近畿地区連合会 専用サイト 要認証

広報誌「かけはし」

時評

マイナ保険証と資格確認書の交付について
~制度移行の現実と課題

2024年12月2日から、新規の健康保険証は発行されなくなり、2025年12月2日以降は、これまでの保険証が使用できなくなる。それに伴い、マイナンバーカードを活用した「マイナ保険証」への移行が本格化している。

医療DXの一環として進められているこの施策は、医療情報の連携や業務の効率化を目指す国の重要な取り組みであり、健康保険制度の持続可能性を高めるための大きな転換点といえるだろう。

これまで、マイナンバーカードの取得促進は「持つことの利便性」を中心に進められてきた。マイナポータルの活用や給付金の迅速な受け取りなど、取得によるメリットが強調されてきたものの、取得率は一定の水準で伸び悩んでいる印象がある。今回の制度移行では、初めて「持たないことによる不利益」が明確に示されることとなり、取得促進のアプローチが大きく変わったと感じる。

一方で、マイナンバーカードを取得していない、またはカードと保険証を紐づけていない加入者には資格確認書が交付される仕組みがあり、「カードがなくても困らない」という認識につながっている面も否めない。制度の目的である医療情報の連携や効率化を実現するには、マイナ保険証の普及が不可欠であるが、こうした代替措置が、結果として制度の定着を遅らせている可能性もあるのではないだろうか。

また、資格確認書の発行・管理には多くの事務負担が伴い、郵送費や人件費などのコストも軽視できない。健康保険組合をはじめとする保険者にとって、制度運用にかかわる事務負担は着実に増している。今後の制度設計にあたっては、現場の声にもぜひ丁寧に耳を傾けていただきたい。

私たちの健保組合では、母体企業と連携しながら、マイナ保険証の取得促進に積極的に取り組んでいる。社内報や健保だよりでの継続的な情報発信に加え、人事部主催の社内集会や社内WEBを活用したPR活動などを通じて、従業員の理解促進と行動喚起を図っている。こうした取り組みは、制度対応にとどまらず、加入者の健康管理や医療の質の向上にもつながると考えている。

制度の変化に柔軟に対応しながら、加入者の健康と利便性を守ることは、私たち保険者の大切な責務である。マイナ保険証の普及は、医療情報の連携や重症化予防の強化にもつながる。加入者に寄り添いながら、制度への理解を深め、引き続き普及支援に取り組んでいきたいと思う。

(S・M)