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広報誌「かけはし」

健康教室

9月4日、健康教室を開催。地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター がん対策センター疫学統計部 部長補佐 田淵 貴大氏が「メディアが伝えない「がん予防」のはなし」をテーマに講演されました。(以下に講演要旨)

※本講演の動画は9月14日~11月16日までオンデマンドにて配信

メディアが伝えない「がん予防」のはなし

田淵 貴大 氏

がんを予防するために最も効果的な方法は、禁煙および受動喫煙の防止であり、がんになった後でも禁煙することにより長期生存や二次がんの予防につなげることができる。本講演の情報が臨床や公衆衛生の現場での禁煙支援や禁煙指導に少しでも貢献できればと思う。

国立がん研究センター(研究班)において、科学的根拠に基づいて各種要因と発がんの因果関係について判定され、がんを予防するための要因がまとめられ、日々更新されている。世界のタバコ関連エビデンスをまとめた米国のSurgeon General Reportの結果も統合し、表には、日本人における「がんの危険因子」を示す。例えば、肺がんについて、「喫煙」は“確実”に肺がんを増やす。“確実”とは、科学的根拠が十分にあることを示している。また、「受動喫煙」および「職業性アスベスト」は“ほぼ確実”に肺がんを増やす。「運動不足」「肥満」や「飲酒」により肺がんが増えるかどうかは“データが不十分”である。

この表に示した5部位のがんで、日本人のがんのほとんどを占める。表を部位横断的にみれば、がんに共通した危険因子がわかり、科学的根拠の十分にある“確実”および“ほぼ確実”な危険因子は、乳房以外の4部位で「喫煙」、大腸がんと肝臓がんで「多量飲酒」、大腸がん、肝臓がん、乳がんで「肥満」である。これらの危険因子を減らすことが、科学的根拠に基づき最も有効だと考えられるがんの予防方法なのである。最新の研究により受動喫煙による乳がん発生リスクが今後、確実視されるのではないかと考えられているが、この表の内容に大きな変化はない。

誌面の関係で詳述できず恐縮だが、拙著「新型タバコの本当のリスク」を参照いただきたい。

今回の「健康教室」が、禁煙支援の推進につながることを期待している。