健康教室
7月20日、健康教室を開催。近畿大学医学部産科婦人科学教室 医学部講師
※本講演の動画は7月27日~8月28日までオンデマンドにて配信
健やかに働き続けるために知っておきたい疾患とトラブル、その対処
~男性も女性も知っておいてほしい女性に多い疾患~

講演の依頼をいただき、自分なりに「健やかに働く」というのはどういうことだろうと考えてみたところ、必ずしも疾患があることが問題というわけでもないのではないかと思うに至ったので、最初に「健やか」とは、「働く」とは、「他者と関わる(職場など)ときに重要なもの」とは、というお話しから始めて、「コミュニケーション」は、いつ、どこで、どうやって学んだのだろう? ということで、包括的セクシュアリティ教育についてのお話を少しさせていただきました。スマホで学べるSEXOLOGYというサイトも紹介していますので、ご興味のある方は、そちらものぞいてみていただければと思います。
女性に多い疾患やトラブルについては、まず体の仕組みというところで、生物学的な女性と男性の違いとして、子宮・卵巣・卵管・膣・外陰という女性にしかない臓器に起こり得る疾患は産婦人科で扱うこと。また、よく相談される疾患のお話を、実際の患者さんとのやり取りなどから感じることも含めてお話しさせていただきました。
まず、男性にはないものとして「月経」の意味や機序、正常と正常でない状態(月経前症候群(PMS)、月経不順、月経困難症)のお話をしながら、必ずしもすべての人が困っているわけではないものの、困っているなら検査や治療ができること、自分が困っていなくても周りで困っている人がいれば教えてあげてほしいし、治療することで仕事や社会にとってもプラスの効果が生まれる可能性(女性の社会進出、疾患があることによって経済的・社会的損失につながる)について説明し、女性だけでなく男性にも知ってほしいことをお伝えしました。なかでも、子宮筋腫や子宮腺筋症といった、過多月経につながる子宮の疾患や、過多月経によって引き起こされるとされている子宮内膜症といった疾患のお話もさせていただきました。
女性に多いがんとして、子宮がんや乳がんについて、予防という観点から一次予防、二次予防としてできること、最近のトピックとしてHPVワクチンや妊孕性温存のお話しにも少し触れています。
また、更年期障害や骨粗鬆症など、よく聞くけれどよく分かっていない疾患の概説、いつ、どこに受診するべきか、そもそも受診しなければいけないのかなど、体が加齢していくにつれて起こる変化の結果、起こることの説明をして、take home messageとして「健やかに働き続けるためにできることは一人ひとり違うかもしれないけれど、知ること・考えること・学ぶこと・教えることで、自分や周りの誰かの健やかにつながるかもしれない」という言葉で講演を終わらせていただきました。