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花粉症は、花粉によって生じるアレルギー疾患の総称であり、主にアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎が生じます。花粉が入ると、直後にくしゃみ、鼻汁が生じ、少し遅れてから鼻づまりの「即時相(そくじそう)反応」が生じます。このときの鼻の粘膜は、かぜに近い赤い色の粘膜の腫脹(しゅちょう)を起こします。このため、初めて花粉症になったときには、検査をしなければ、かぜと間違う場合もあります。
目に花粉が入ると早くから目がかゆくなり、涙が流れ、目が充血してきます。症状が強いときは、鼻で吸収されなかったスギの抗原成分が鼻から喉へ流れ、喉のかゆみ、咳を生じます。また鼻づまりによる頭痛、鼻や喉の炎症反応による微熱、だるさなどの症状に悩まされます。
家の中にいるときなど、花粉がない状態でも症状はありますが、多くは花粉の繰り返しの吸入による鼻づまりの症状が主体です。これをアレルギー反応の「遅発相(ちはつそう)反応」と呼び、アレルギーの細胞から放出されるロイコトリエンなどの物質が神経や血管を刺激するために症状が現れます。鼻の粘膜の知覚神経が刺激されるとくしゃみが起こり、その反射で鼻汁が出ます。鼻づまりは、血管の拡張と血管からの水分の放出により鼻が腫れるために起こり、目のかゆみはヒスタミンなどが神経を刺激するために起こります。 |
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花粉症の約70%はスギ花粉症だと推測されます。これは日本の国土の占めるスギの面積が大きく、全国の森林の18%、国土の12%占めるためでもあります。 |
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北海道にはスギ花粉飛散は極めて少なく、沖縄にはスギは全く消息しません。関東・東海地方では、スギ花粉症の患者さんが多く見られます。ヒノキ科花粉による花粉症も見られますが、よりスギの人工林が多いのでスギ花粉が多く飛散します。山梨県では、ヒノキ科花粉が多く飛散することがあります。関西では、スギとヒノキ科の植林面積はほぼ等しいのですが、いまのところヒノキ科はまだ幼い林が多いので、花粉飛散はスギのほうが多いといわれています。 |
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スギの花粉は雄花の中で成長します。雄花は花粉が7月の初めごろから作られますが、このころに日照りが続き、雨が少ないと、雄花のもとである花芽がたくさんできます。
花芽は夏から初秋にかけて発育を続け、やがて雄花が完成します。そして、雄花の中に花粉が作られます。花粉が完成するのは10月中旬です。スギの成長の度合い、雄花の量から翌年のスギ花粉飛散予報がおおよそ決まります。また、この頃から少しずつ花粉が飛び始めることも知られています。年を越えて暖かくなり始めると、雄花は開花して花粉が一斉に飛び始めます。
世界的な温暖化の影響で、花粉飛散数も増加が予想されます、気象庁によるシミュレーションでは、関東のスギ林密度も増加する傾向にあります。 |
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花粉症の予防は、下のような項目が考えられています。
鼻と目に花粉が付着しないようにすることで、防御器具が有効になります。
着用に違和感のない花粉症用メガネも販売されていますが、通常のメガネだけでも、メガネをしていないときの目に入る花粉量の半分以下になります。花粉の季節にはコンタクトレンズ使用の方は花粉がレンズと結膜の間で擦れるので、メガネに替えたほうがいいかもしれません。視力に障害がなくても、いわゆるダテメガネでも有効です。 |