広報誌「かけはし」

■2020年9月 No.588
時評

一人ひとりの意識が大事

 新型コロナウイルスという新たな感染症の脅威にさらされ、心休まる日常は、いつ戻ってくるのか。ワクチンや特効薬の開発が、一日でも早く実現されることを切に願う。また、感染を拡大させない生活を送ることを肝に銘じることが重要だ。
 とはいえ、心身の健康を考えると、何もしないで家に籠り続けるというのも現実的ではない。一人ひとりが基本的な感染症対策や、日常における基本的な生活様式を理解したうえでの活動であれば、少しずつでも行っていくべきだと考える。厚生労働省が示している「新しい生活様式」において、感染予防のための制限はあるが、娯楽やスポーツ等が禁止されているわけではない。
 生活に欠かせない買い物については、今では通販サイトの充実や電子決済など、人と人の密状態を回避する方法も普及している。また、できるだけ少人数で素早く済ませることで感染リスクを抑えられる。
 屋外で運動するならば、人との間隔を十分にとったり、少人数で行ったりするなどの配慮があれば感染リスクは高まらない。屋内であれば、各自治体WEBサイトにおける運動動画配信の活用や筋トレなど、工夫次第で色々なことができる。スポーツ庁のWEBサイトには、自宅や屋外で安全に運動するためのポイントが紹介されている。興味があれば一度ご覧になってもいいのではないだろうか。
 健保連は、毎年10月を「健康強調月間」と定めており、今回で55回目となる。今年は感染症が流行し、国民が健康不安を感じている状況を鑑みて、健保組合と一丸となって感染症対策にあたる必要がある。生活様式の変化を踏まえた生活習慣の形成を促し、健康不安解消の一助となる情報を提供。国民全体のヘルスリテラシーの向上を目指す取り組みが行われる。
 感染リスクが常につきまとう状況だからこそ、一人ひとりがしっかりと感染予防を行ったうえで、できることを前向きに取り組むことが大切だ。
 現在も予断を許さない状況が続いている。やりたいことを我慢したり、明日への不安を抱いたりしながらの生活を送っている人は大勢いるだろう。それにもかかわらず、感染リスクが高いと思われる振る舞いをしている人を見かけると、大変残念な気持ちになる。最前線で必死に働き、命を支えてくれている医療従事者や、その家族への誹謗などはもってのほかだ。
 感染予防が伴わない行為は、自分一人の問題では済まされない可能性があるだけに、やはり自重すべきである。一人ひとりがこの考えを意識して行動すれば、きっと以前のような日常を取り戻すことができると信じている。
  (M・S)