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年度が改まった4月1日から、罰則の付いた受動喫煙対策を盛り込んだ「改正健康増進法」が全面的に施行され、飲食店なども原則屋内禁煙となった。事務所や工場などで、専用の喫煙室を設置するなどの対策を講じることで喫煙が認められるケースがあり、完全に受動喫煙を防ぐことができるかどうか、少し疑問は残る。
しかし、やっと本格的に国が法的根拠に基づき取り組みだした受動喫煙対策については、内容はどうあれ、その姿勢は評価できるだろう。この喫煙対策、みなさんご存じのとおり、健保組合にとっても他人事ではないことは言うまでもない。
喫煙と聞いて、まず頭に浮かぶのは、がんの発症リスクではないだろうか。日本の研究では、喫煙が原因でがんになったのは男性で30%、女性で5%。また、がんによる死亡のうち、男性で34%、女性で6%は喫煙が原因であると考えられている。喫煙対策により、望まない受動喫煙をなくし、加入者の健康が守られる。これを機に、禁煙に挑戦する加入者が増えることも期待できる。
すでに多くの企業が健保組合と取り組んでいる健康経営において、喫煙対策は切っても切れないものとなっている。健康経営優良法人認定制度の認定基準では、「受動喫煙対策に関する取り組み」が必須項目となっているのだ。企業が健康経営優良法人に認定されると、求人を募集する際に大きなセールスポイントになるということを聞いたことがある。健保組合としては、この優良法人認定制度を活用し、企業とのコラボヘルスを推進しない手はない。
今年の3月に経済産業省が「健康経営優良法人2020」を公表した。5月1日現在において、大規模法人部門は前年比約1.8倍の1477法人、中小規模法人部門では同約1.9倍の4817法人が認定された。このうち、健保組合に加入している事業所は、大規模部門で1206法人、中小規模法人部門で885法人だった。また、健保組合自身の認定については、大規模部門で7組合、中小規模部門で71組合が選出された。
企業とともに健康経営に取り組んでいる健保組合が増えていることから、なおさら認定基準の必須項目である喫煙対策の重要度は高まっていると言える。
今回の「改正健康増進法」の施行は、世界的に喫煙対策が遅れているといわれている日本にとって、国を挙げての巻き返しの第一歩だったのだろう。
残念ながら、今年に開催が予定されていた東京オリンピック・パラリンピックは、1年先へと延期が決定したが、この期間を無駄にしてはならない。さらなる喫煙対策の充実により、1年後に開催されるオリンピック・パラリンピックにおいて、そのホスト国として、クリーンな日本を大いにアピールしてもらいたい。 |
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(M・S) |
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