広報誌「かけはし」

■2020年2月 No.581


行政と協働で取り組むがん対策
― がん登録データ活用 ―

 12月16日、大阪商工会議所で健康教室を開催。地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター がん対策センター所長 宮代 勲氏が「行政と協同で取り組むがん対策―がん登録データの活用―」をテーマに講演されました。参加数は、30組合・35人。(以下に講演要旨)

 
  宮代 勲 氏
 がん対策基本法の規定に基づき策定する都道府県計画であるがん対策推進計画の策定や進捗評価を行う際には、罹患率や生存率等の根拠となる統計数値が必要である。大阪府では、昭和37年に大阪府がん登録事業を開始し、がんを中心とした生活習慣病に関する専門施設として、全国初で設置された大阪国際がんセンター(旧称:大阪府立成人病センター)の構成組織である「がん対策センター」が、がん登録をはじめとするデータを収集・分析し、府と連携して総合的ながん対策を推進する役割を担っている。
 がん登録等の推進に関する法律(がん登録推進法)は2013年12月に成立し、2016年1月1日から施行された。がん登録推進法を法的根拠とする全国がん登録は、国が実施主体となり、すべての病院と都道府県知事の指定を受けた診療所は、省令で定める期間内に届出の義務を追う。がん登録推進法において「がん登録」とは、全国がん登録および院内がん登録をいう。「全国がん登録」とは、国・都道府県による利用・提供の用に供するため、国が国内におけるがんの罹患、診療、転帰等に関する情報をデータベースに記録し、保存することをいい、「院内がん登録」とは、病院において、がん医療の状況を的確に把握するため、がんの罹患、診療、転帰等に関する詳細な情報を記録し、保存することをいう。比較可能な情報を取集する仕組みとして、全国がん登録を国や都道府県、院内がん登録を施設別の状況把握に利用し、がん対策を推進しようとするものである。
 日本のがん登録は新たな時代に入っているが、がん登録は登録することが目的ではなく、がん登録に携わる国、都道府県、医療機関、それぞれの立場で、がん対策にどう活かすか、がん登録で得られた結果にどう対応していくかが重要である。2019年1月からは、がん登録推進法に基づくがん登録情報利用が開始されている。がん登録データ活用の観点から、行政と協働で取り組むがん対策を一緒に考える機会としたい。

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