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5月20日、大阪商工会議所で健康セミナーを開催。大阪市立大学 都市健康・スポーツ研究センター 教授 岡ア 和伸氏が「健康寿命を延ばすアクティブヘルスライフ」をテーマに講演されました。参加数は、47組合・56人。(以下に講演要旨) |

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岡ア 和伸 氏 |
大阪府の健康寿命は、2015年時点で男性69.39歳、女性72.55歳であり、全国平均の男性70.42歳、女性73.62歳を下回っている。また、平均寿命と健康寿命の差である「継続的な医療・介護に依存せざるを得ない生存期間」、すなわち“不健康な期間”は、大阪府では男性9.67年、女性13.35年で、全国平均の男性9.13年、女性12.68年より長い。不健康な期間が長いと、個人や家族の生活の質が低下するだけでなく、医療費や介護給付費等の社会保障費の増大をもたらすため、平均寿命の延び以上に健康寿命を延ばし、不健康な期間を短縮することが重要となる。仮に、大阪市全域において、1年間にわたる速歩トレーニングを実施したとすると、メタボリック・シンドローム該当者および予備群の人数は、男性15万人、女性8万人、合計23万人低下すること、さらに、1年間の医療費が約1040億円低下すると試算することができる。
日々のアクティブな生活によって、健康寿命が延伸することが多数の疫学研究で示されている。厚生労働省の“健康づくりのための身体活動基準2013”では、疫学研究のシステマティックレビュー結果から、メタボリック・シンドロームやロコモティブ・シンドロームのリスクを低減し、健康寿命を延伸することの期待できる身体活動および運動の量が提示されている。身体活動量の基準値は、18〜64歳では3メッツ以上の強度で23メッツ・時/週、65歳以上では強度を問わず10メッツ・時/週であり、歩行程度であれば、18〜64歳では毎日60分、65歳以上では毎日40分に相当する。一方、運動量の基準値は、18〜64歳では3メッツ以上の強度で4メッツ・時/週であり、歩行程度であれば、毎週60分に相当する。これらに加えて、全身持久力(最大酸素摂取量)の高いことが、各リスクを低減する独立因子であることが示されている。つまり、基準値以上の量の身体活動や運動を実施することに加え、体力を維持・向上することが健康寿命延伸のカギとなる。主に中高年者を対象とし、上記基準値以上の身体活動や運動を在宅で無理なく実施することが可能な速歩(インターバル速歩)トレーニングによって、高血圧や高血糖などの生活習慣病指標の改善に加え、全身持久力や脚筋力が効果的に改善する。
年齢や身体特性に差がない高齢者であっても、居住環境が異なると外出発生頻度に加えて、身体活動の量および強度が異なる。例えば、ニュータウンと既成市街地に居住する高齢者を比較すると、ニュータウンに比べて既成市街地では身体活動量が少ない。また、ライフスタイルによって、外出発生頻度、外出時間、身体活動量が影響される。健康的で活動的な日常生活(アクティブヘルスライフ)を実現するためには、個々の居住・生活環境、ライフスタイルを考慮した取り組みが必要である。 |
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