広報誌「かけはし」

■2019年7月 No.574


 健保連大阪連合会は6月3日、大阪市中央区の大阪商工会議所で、「データヘルス・ポータルサイト(平成30年度データヘルス計画の実績報告等)に関する説明会」を開催した。この日の説明会には、大阪、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、宮崎、沖縄の2府18県から306組合、487人の健保組合担当者が参加。健保連本部 保健部 保健事業グループの春木匠グループマネージャー、株式会社三菱総合研究所の中村弘輝氏による説明が行われた。
春木匠GM
「データヘルス・ポータルサイトの今後と平成30年度実績報告における留意事項」

 春木グループマネージャー


 データヘルス・ポータルサイト開設の主旨とは、入力内容の標準化により、正確な統計のもと、相互比較やデータ分析が可能となり、健康課題別の効果的な事業のパターン化を図るというもの。
 今後の工程と展開として、まず保健事業パターンを示すこと。課題の抽出から始まり、事業内容や具体的な実施方法等を決定し、目標達成につなげることを目指す。同じ課題・事業内容であっても、実施方法が変わると目標達成度が異なるものをデータ化し、今後の取り組みに活用することができる。第2期計画の統計報告によると、健康課題の選択として、多くが法定義務である特定健診の関連項目が選ばれている。ほかには、糖尿病などの代謝疾患や心筋梗塞などの循環器系疾患などが挙げられる。事業分類の選択状況は、特定健診・特定保健指導関連の事業や、保健事業の基盤となるポピュレーションアプローチ(加入者への意識付け)の重要性への機運の高まりがうかがえる。実施体制については、保健事業を実施するにあたり、事業主や産業医との連携などのコラボヘルスに関連する項目が多くを占めた。一方、他の保険者や自治体との連携体制など、他組織との連携が今後の課題と思われる。そして、実施方法としては、事業分類での選択が多いポピュレーションアプローチとリンクし、参加の促進策を選択している組合が多い。また、健診関連では疾病の重症化予防対策として、未受診者のみならず、要治療者を放置しない体制づくりがうかがえる。ほかには、国からのスコアリングレポートが発出されたことなどを受け、コラボヘルスがより推進されている。第2期実績のフィードバックについては、今年12月を予定しており、成功パターンやストラクチャー・プロセス、アウトプット・アウトカム指標の課題報告など、各組合の次年度事業検討の参考にしていただきたい。
 続いて、30年度実績報告における留意事項について。第3期特定健診・特定保健指導の加算・減算が予定されている。法定義務である特定健診・特定保健指導の実施率や周辺事業の実施結果により、各保険者を点数順にランク付けし、減算が行われる。ただし、インセンティブの原資はペナルティの結果によるため、詳細はまだはっきりしていない。特定健診・特定保健指導実施率等は国のNDBから、減算指標項目の実施の有無についてはポータルサイト入力内容により決定される。
 そして、周辺事業については、計画時には想定していなかった事業を実施した場合でも、報告時に項目を追加できることや、人間ドックや事業主健診の結果による受診勧奨でも目標達成条件をクリアできる可能性があるため、減算指標について改めて確認をお願いしたい。


「減算指標についての留意点と留意点を踏まえた入力の流れ」

 中村氏

 平成30年度実績報告のポイントは、@後期高齢者支援金にかかる加算・減算制度の適用における保険者の取り組みの総合評価に対応している。しかし、減算指標に該当する分類の事業を選択していないケースが散見されるため、今一度確認いただきたいA平成30年度実績報告の提出期限は6月28日。7月1日以降は確定操作・確定後の編集ができない。ただし、6月末では実績確定が困難となる指標があることから、10〜11月末まで、実績報告の見直しを行うための修正期間を設ける予定B令和2年に第2期データヘルス計画の中間見直しを行う。検討方法や視点については、改めて周知・連絡する予定――である。
中村 弘輝 氏

 減算指標関連事項の確認手順と留意点については、減算指標に該当する事業を行っているにもかかわらず、適切な入力ができていない場合は減算指標へ反映されないため、入力漏れがないよう、必要に応じて修正を行うこと。また、減算指標の総合評価項目のうち、大項目の一部については、ポータルサイトに登録されたデータヘルス計画書ではなく、NDBのデータをもとに算出するため、各組合の保健事業から評価点を計算することができない。しかし、各組合が自己判断により当該項目をチェックすることで評価点に加えることが可能である。加えて、大項目ごとの割合をレーダーチャートでも確認できるため、適宜活用してほしい。ただし、NDBから算出する指標の点数は、あくまで参考値となることには注意すること。
 実績報告の提出については、すべてのステータスの入力を完了すれば、確定操作が可能となるが、確定操作を行うと編集ができなくなるため、期限内に変更が生じた場合は、運営事務局まで連絡し、確定解除を行うこと。確定されたデータは健保連を通じ、国に提出される。また、実績報告の内容をPDF形式で出力することも可能である。
 各組合の保健事業のPDCAサイクルを回し、バランスのとれた事業を効率的・効果的に実施することが、結果として後期高齢者支援金にかかる加算の回避や減算の達成につながる。記載漏れ等がないよう十分に確認のうえ、期限内に提出できるようお願いしたい。