広報誌「かけはし」

■2019年1月 No.568

健保連大阪連合会 会長  小笹 定典

 新年あけましておめでとうございます。皆様にはご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 昨年を顧みますと、政治・社会面では、自民党総裁選で安倍首相が連続3選を果たし、第98代内閣総理大臣に任命され、10月2日に第4次安倍改造内閣が成立しました。安倍政権はこれからの3年間でアベノミクスの総仕上げを行い、ポスト安倍の道筋をつけることでしょう。
 また、11月23日には、大阪万博の開催が決定されました。これは「果報は寝て待て」ではなく、地道な誘致活動と票固めの成果だと思われます。大阪府のホームページによると、予定来場者数は約2800万人、全国への経済波及効果は約2兆円と試算されており、開催地のみならず、日本を訪れる観光客が増大し、地域経済が活性化する起爆剤と期待されています。
 スポーツ関係では、平昌(ピョンチャン)冬季五輪で、日本選手団は冬季最多となる計13個のメダルを獲得しました。特にフィギュアスケートの羽生選手が、2大会連続の金メダルを獲得するなど、話題に事欠くことはありませんでした。
 また、ノーベル賞では、生理学・医学賞に京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授が選ばれ、日本の受賞者は26人目となるなど、明るい話題もたくさんありました。
 一方、医療保険の関係では、健保組合の財政は、医学等の技術の進歩・発展と、高齢者の人口増により医療費が年々増加し、現役世代にとっては拠出金等の負担で大変厳しい状況です。健保組合全体の平成30年度予算では、後期高齢者支援金の全面総報酬割等により1381億円の経常赤字となり、赤字組合は6割を超えています。
 大阪における集計では、163健保組合中、61%にあたる99組合が赤字となり、赤字額は173億円になっています。近年は、ほとんどの組合が保険料率を引き上げざるを得ない状態が続いており、今年度も15組合が保険料率を引き上げています。
 厳しい財政の原因は、やはり高齢者医療への拠出金の増加にあり、保険料収入に対する拠出金の割合は42.58%となっています。また6割を超す組合もあり、すでに限界を超えようとしている状況にあります。
 このようななか、安倍首相は昨年の総裁選で、「すべての世代で安心できる社会保障改革」など5つの決意を掲げました。今後の政策課題では、12の主な分野において社会保障を揚げ、3年かけて社会保障改革を行う方針を示して、消費税率の引き上げによる財政の確保と、年齢ではなく経済的能力に応じた負担を求める必要があると明言しています。
 その後の臨時閣議で、2019年10月に消費税率を10%へ引き上げると表明しました。しかし、消費税率引き上げは、過去2度にわたって先送りされており、社会保障改革を行う方針も、夏の参院選前に具体策や目標時期を示した「工程表」を作成し、医療・年金改革を実施するということに留まっています。
 健保組合、健保連としては、従来にも増して過重な拠出金負担の軽減、負担構造改革の早期実現、持続可能な社会保障制度を確立するという観点から、消費税率の引き上げを表明どおり実行することを積極的に訴えていく必要があります。また、健保組合の財政危機を打開し、国民皆保険制度を維持発展していけるよう健保組合の実情や改革のための具体案を、多くの人々に対して、わかりやすく説明し、改革実現に向けて取り組んでいかねばなりません。そのためにも、健保組合と健保連が、より一層連帯を強め、全力を挙げてこの難局に立ち向かっていかなければならないと考えています。
 大阪連合会は、健保連本部・各都道府県連合会・各関係団体とも十分に連携をとり、成果ある年にしたいと思います。皆様のこれまで以上のご指導、ご支援を心からお願い申し上げます。
 最後に、本年も皆様がご健勝・ご多幸で活躍されることを祈念し、新年のあいさつとさせていただきます。