広報誌「かけはし」

■2018年12月 No.567


働く人たちの適応力をアップするレジリエンス・トレーニング
〜強みを活かすための考え方と支援〜

 11月5日、大阪商工会議所で心の健康講座を開催。特定非営利活動法人 大学院連合メンタルヘルスセンター 理事/臨床心理士 永田 俊代氏が「働く人たちの適応力をアップするレジリエンストレーニング〜強みを活かすための考え方と支援〜」をテーマに講演されました。参加数は、45組合・59人。(以下に講演要旨)
永田 俊代 氏
ポジティブ・メンタルヘルス
 職場のメンタルヘルス活動では、メンタルヘルス不調者への対応や予防にとどまらず、個人や組織の活性化を目指すポジティブなメンタルヘルス対策が期待されています。
 今日の変化の多い職場では「適応できる心のしなやかさ」が求められますが、今回、海外において、メンタルヘルスやリーダーシップなどの研修の一環として用いられる「レジリエンス・トレーニング」を行いました。

レジリエンスとは?
 レジリエンスとは「逆境や困難、強いストレスに直面したとき、適応する精神力と心理的プロセス」(全米心理学会)と定義されています。今回の講座は「ストレスへの免疫力」「変化適応力」「目的達成力」を身につけることが目的です。重要なポイントとして、レジリエンスは決して特別なものではなく、私たちがすでに持ち、発揮しているもので、研究によって習得もできることが分かっています。

ワーク:レジリエンス・トレーニング
 まず、逆境を乗り越えて成功することの大切さを伝えるために、偉人・有名人が残したレジリエンスに関連する名言・格言(「私は失敗したことがない。1万通りのうまくいかない方法を見出したのだ」トーマス・エジソン)などを紹介し、以下のグループワークを行いました。
 ワーク1.「レジリエンスの高い人」では、@友人・知人で立ち直りの早い人は誰?Aアニメ・マンガの登場人物で最後まであきらめない人は誰? など、レジリエンスの高い人についてイメージを豊かにしました。
 ワーク2.「自分の強みを見出す」では、強みカードの中から自分を特徴づける強み @自分らしさを反映しているものはどれか?A活用した時に元気や活力を感じるものはどれか? など、自分を特徴づける強みを発見し、自己理解を促しました。
 ワーク3.「レジリエンス・バンク」では、自分史を描いて、@困難を乗り越える際に使った強みは?Aどんな有益な学びがありましたか? など、過去に困難を乗り越えた体験から自分の資源を認識し、自信を養いました。
 その他、ワーク4.「自分のネットワーク(人脈)を見出す」では、逆境時の問題解決に頼りになるサポーターを認識したり、また、ワーク5.「感謝レター」では、感謝を伝えられなかったサポーターに感謝の手紙を書き、心身の健康に効果のある「感謝」というポジティブ感情を深めました。
 強みを活用したほうが、弱みをなくすことよりも、よりポジティブな結果や人生での成功に貢献できるといわれています。強みを活用することは、レジリエンスを強化するだけでなく、いきいきとしたエネルギーを生み出し、個人の幸福度や職場の活性化にも繋がるのです。

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