広報誌「かけはし」
 

■2018年7月 No.562



 6月20日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。開催に先立ち、今般の大阪北部地震における被災者へのお見舞いと早い復興を願う旨の話があった。

1. 中央情勢

(1) 2040年を見据えた社会保障の将来見通し
   医療・介護給付費について、計画ベースと現状投影で比較されている。計画ベースとは、地域医療構想や医療費適正化計画、介護保険事業計画などの数字を基礎としたもの。現状投影とは、年齢別の利用率から機械的に将来の患者数や利用者数を計算したもの。
 現状投影における2018年度の医療・介護給付費は49.9兆円、2040年度は92.9〜94.7兆円と倍近く増加する。計画ベースにおいても最終的な数字は同じようなものだが、医療給付費は減、介護給付費は増という違いがある。
 社会保障給付費全体では、2018年度は121兆円で、2040年度は190兆円となる。
 これらを踏まえ、今後の医療保険制度の検討として、@社会保障の持続可能性の確保A現役世代の人口が急減するなかでの社会の活力維持向上B労働力の制約が強まるなかでの医療・介護サービスの確保―が挙げられている。
(2) 佐野雅宏副会長コメント
   健保連の佐野副会長は、「骨太方針2018」の閣議決定にあわせてコメントを発表した。
 経済成長と財政を持続可能なものとするための改革に向けた方針が示されたことに強い関心を持って注目する。
 しかし、国民皆保険の維持に不可欠な高齢者医療費の負担構造改革については、後期高齢者の窓口負担の見直しが先送りされかねない内容となっている。すでに現役世代の負担は限界に達しており、国民皆保険の持続性を確保するため、高齢者医療費の負担構造改革の早期実現を強く求める。
(3) 健康スコアリングレポート
   ワーキンググループにおける検討結果は以下のとおり。
 ○2018・2019年度のレポートについては、健保組合単位とする○レポート内容は、レセプト・特定健診・特定保健指導データをもとに、医療費、特定健診受診率、特定保健指導実施率等を全国比較し、組合の実情に応じた活用を認める○国からのメッセージであることを明確にする○国は健保組合経由で事業所に通知する
 今後の予定は、○日本健康会議(8月27日開催)にあわせ、レポートを全健保組合に発送予定○効果検証にかかるアンケート調査を実施予定○本年度中にワーキンググループを招集し、2020年度以降の実施方法について検討予定―とされた。
(4) ICT対策プロジェクトチームの開催状況
   6月4日に開催され、健保組合・健保連・厚生労働省が出席し、オンライン資格確認について意見交換が行われた。
 資格確認の前提として、資格情報等のデータを連結することを容易にするため、被保険者番号を個人単位化することが検討されていることが挙げられる。
 今後について、レセプトのオンライン化の普及、マイナンバーカードの普及、中間サーバー運用のコスト縮減、システム導入による保険者の実務負担軽減などを厚労省に依頼した。

2. 本部委員会報告

(1) 診療報酬対策委員会
   6月11日に開催された。正・副委員長の選任や、本年度の委員会の審議事項、支払基金改革、審査支払問題検討小委員会の設置、療養費への対応について検討した。

3. 大阪連合会活動

(1) 各種委員会
   広報委員会を5月22日に開催した。かけはし6月号の編集概要について報告された。
(2) 報告事項
   川隅専務理事から、以下について報告があった。
 @要請活動の要請書提出状況については、締め切りの6月8日までに96組合から提出いただいた。現在は101組合となっている。要請書の内容として、高齢者医療への拠出金についてが圧倒的に多く、ほかには介護納付金の補助金延長、マイナンバー制度の問題点などがあった。提出いただいた要請書をひとつの冊子にまとめ、自民党のとかしきなおみ議員、松川るい議員に対して要請活動を行った。
 A7月25日に開催予定の大阪連合会決算総会には、健保連本部の河本常務理事が出席し、情勢報告が行われる。総会終了後には、支払基金大阪支部の岩崎支部長から支払基金の現状等について説明がある。
 B9月6日に健康経営セミナーを開催予定。講師は、産業医科大学の森晃爾(もり こうじ)教授、健保連本部の小松原保健部長を予定。