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11月14日、大阪商工会議所で健康セミナーを開催。大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 統合保健看護科学分野 総合ヘルスプロモーション科学講座 教授 神出 計氏が「健康寿命の延伸につながる保健指導を考える」をテーマに講演されました。参加数は、48組合・63人。(以下に講演要旨) |

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神出 計 氏 |
我が国では生活習慣の改善・生活習慣病予防を目的として、平成20年4月より特定健康診査(特定健診)・特定保健指導(保健指導)が行われている。これまでの研究で、保健指導により体重、腹囲、血糖値、脂質値などの代謝指標、運動習慣、食習慣等の改善を認めること、保健指導による3%の体重減少が各健康指標の改善につながることが知られており、特定健診・保健指導の有効性が示されている。保健指導により肥満・メタボリックシンドロームの改善が得られれば、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の予防ができると考えられる。また近年、生活習慣病を有する人に対する保健指導を診療の現場で行う機運も高まっているため、保健指導と薬物治療を合わせた生活習慣病の管理が普及していく可能性が高い。現在、健康寿命を脅かす要介護状態になる原因の約3分の1が生活習慣病ならびにそれに起因する心血管疾患、がんであることを考慮すると、保健指導を受けさせ、効果を上げることが健康寿命延伸に繋がる可能性がある。しかしながら保健指導は受療率が低く、受けた場合でも短期的に効果が上がっても指導効果の持続も難しいのが現実である。そこで本講演では具体的に効果的保健指導方法の考え方について解説を行った。具体的な保健指導技術は以下のように、
•支援スタッフ側の体制づくり
•4分割法による課題の整理
•できることを目標にする
•段階的に目標を設定する
•具体的な目標を設定する
•目標設定を焦らない
•個人目標の評価と見直し
•記録をつける
が大切であり、いかに長期に継続した効果を得るかが大切になる。下図に示すような長期フォローができる体制を組みモチベーションを保ちながら工夫を重ね、長期に保健指導効果を持続できることが望ましい。
しかしながら保健指導を指導期間中に中断する人も多く、我々がその要因を解析した結果では、高度な肥満者、高齢者、生活習慣改善意欲が弱い人が関連要因として示されたため、これらの要因を満たす対象者には保健指導完了・効果持続のためにより丁寧なアプローチを行う必要があると考えられた。効果的な保健指導を行っていくことは、近年、医療費削減にも貢献することが示され、我が国でもっとも望まれている健康寿命に延伸に大きく貢献することは間違いないと考えている。 |
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