広報誌「かけはし」

■2017年9月 No.552
健保問答 

第 443 回

     
Q
   今後の健康保険の制度改正で、高齢者に関するものはどのようなものがありますか。

A
   負担能力に応じた公平な費用負担により、制度を維持するために今後の健康保険制度改正には、次のようなものがあります。

@高額療養費の自己負担額の見直し
 世代間負担の公平性や能力に応じた費用負担とするために、70歳以上の人の高額療養費の自己負担限度額が見直されます。
 まず、平成29年8月からは、所得区分で現役並み所得者と一般の人が対象に限度額が引き上げられます。平成30年8月からは、現役並み所得者の区分見直し(標準報酬月額により3段階に細分化)と、一般所得区分の人の限度額が引き上げられます。
 ただし、一般所得区分の人に限り、経済的な負担を考慮した時限措置として、年間上限額を従来の上限額(年間14万4000円)に設定しています。
A70歳以上の高額介護合算療養費の所得区分と自己負担限度額の見直し
 毎年8月から翌年7月までの12カ月間に、医療と介護負担額の合計が限度額を超えると払い戻しが受けられますが、70歳以上の人の自己負担限度額について、平成30年8月から見直しが行われ、高額所得者(月額53万円以上)の限度額が引き上げられます。
B後期高齢者の保険料の軽減特例の見直し
 後期高齢者医療制度の保険料は、負担を軽減する特例措置が実施されています。その保険料の軽減特例の一部について、平成31年度にかけて段階的に見直しが行われ、最終的に軽減特例は廃止になります。
C生活療養標準負担額の居住費の引き上げ
 65歳以上の人が慢性病で長期入院する際は、医療費とは別に生活療養標準負担額を負担します。その居住部分について、平成29年10月から引き上げになります。ただし、医療の必要性の高い患者には、平成30年3月まで経過措置があります。