広報誌「かけはし」

■2017年8月 No.551


 健保連大阪連合会は7月29日、大阪市北区の大阪市中央公会堂で、「健康みらいトークin大阪」を開催した。この催しは、健康や医療など身近な問題を、広く一般の方がたに考えてもらおうというもの。この日は、市民ら560人が参加。フリーアナウンサーの生島ヒロシさんによる講演や、国会議員などによるパネルディスカッションが行われ、会場を埋めた参加者に健康生活や医療費節減のたいせつさを呼びかけた。
小笹定典大阪連合会会長
 「健康みらいトークin大阪」は、健保連が推進する“あしたの健保プロジェクト”の一環として開かれた。医療、医療費、健康など、身近で切実な問題を、広く一般の方がたにあらためて考えてもらおうというもの。
 このような大阪連合会主催の一般向けイベントの開催は昨年に続いて2回目。この日は、健保組合関係者はもとより、大阪はじめ近畿各府県から市民ら560人が参加した。
生島ヒロシさん

 「健康みらいトークin大阪」は、大阪連合会の小笹定典会長のあいさつで開会した。小笹会長は「健康であること、元気で暮らせる時間を増やすということが、増え続ける医療費を抑えることになり、国の宝・皆保険制度を支えることになる。支えるとともに、なによりも皆さんの幸せに繋がる。これを機会に、健康と元気を広げていただきたい」と述べた。
 生島ヒロシさんによる講演のテーマは「いつまでも若く生きる秘訣」。
梅村 聡 氏
生島さんはTBSでアナウンサーとして活躍。その後独立し、現在は、TBSラジオ系「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」等の番組に出演。CM出演、講演など、多方面で活躍している。
 講演は、自身の健康に対する考え方や病気の予防について、参加者を壇上に上げて、いろいろな健康グッズを使用しながら解説。非常に軽快な語りにより会場に笑いを、時には真剣な面持ちで感動を誘うなど、楽しい内容であった。
長尾 敬 氏

 パネルディスカッションのテーマは「健康で元気な社会のために」。 コーディネーターに梅村聡氏(医師、前参議院議員)。パネリストとして、長尾敬氏(衆議院議員 自由民主党)、伊佐進一氏(衆議院議員 公明党)、松浪健太氏(衆議院議員 日本維新の会)を迎えて行われた。
  梅村氏は、現在の日本の健康保険制度について、「年齢や所得によって人それぞれだが、医療機関で本人が負担する医療費は、
伊佐 進一 氏
全額のうち1割〜3割である。また、あまりにも医療費が高額になった場合に、ある一定の限度額で負担が抑えられる高額療養費制度というものもある。今の日本は、このような制度に国民全員が加入しているという状況である。しかし現在、この制度の存続が危ぶまれている。この健康保険制度がない場合、医療機関で治療を受けるたびに、医療費全額を本人が負担することになる。これは大変なことだ」と危惧した。
 そして、梅村氏がパネリストそれぞれに、日本の健康保険制度についてたずねると、長尾氏は、
松浪 健太 氏
「患者には、フリーアクセスが認められているなど、世界に誇る皆保険制度である。人間らしく生きるためには、守られなければならないもの」と強調した。
 伊佐氏は、リチャード・ドーキンス(英国、進化生物学者・動物行動学者)が行ったある鳥の実験結果から、「健康保険制度を維持するには、押し付け合いではなく、支え合いながら、お互いの納得感が大事である」とした。
 松浪氏は、「アメリカでも皆保険制度は達成されていない。日本はお互い様の考えを持つ人が多い。日本の仕組みは最高のものであり、守るべきである」と述べた。
白川修二健保連副会長

 そして最後に、健保連の白川副会長が閉会のあいさつを行った。白川副会長は、世界最高の仕組みである日本の皆保険制度について、@その素晴らしさを国民が実感できていないことA制度維持のための財政が非常に厳しいこと―の2つの問題点を指摘した。「今後、医療費が伸びることは確実であり、税金や保険料、病院窓口での本人負担のいずれにしても、その負担は国民が負うことになることを覚悟しないといけない。そして今が、この課題について議論するタイミングである」と訴えた。