広報誌「かけはし」

■2017年2月 No.545


 平成29年度(2017年度)の健康保険組合予算編成等事務説明会が1月19日、大阪市中央区の大阪商工会議所「国際会議ホール」で開かれた。健保組合の29年度予算編成を直前に控え、この日の説明会には、大阪、福井、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の2府5県から272組合、663人の健保組合責任者、担当者が出席した。説明会では、近畿厚生局健康福祉部保険課の係官が、29年度予算編成および健保組合事務の留意事項などを説明した。
 午前・午後の2部制で行われた予算編成等事務説明会では、午前の部で健保連大阪連合会副会長のパナソニック健保組合・森脇紳二専務理事、午後の部で同副会長のクボタ健保組合・阪口克己常務理事があいさつした。
 近畿厚生局からは、田邊毅健康福祉部保険課長が出席してあいさつ。荒川俊幸保険課課長補佐が、予算編成基準の一部改正の要点と、平成29年度予算編成にかかる留意事項等について、谷口ちはる保険課社会保険業務専門官が、予算届出書の記載および提出上の注意事項等について、それぞれ説明した。
 また、健保連本部・組合支援事業部・業務支援グループの春木匠チーフが、個人情報の保護に関する法律の改正概要について説明した。
 森脇氏は、「日本では財政健全化を掲げながら経済成長を果たすことが大きな課題となっている。当初、今年4月から予定されていた消費税率10%への改正が、2年半延期された。本来、引き上げ分を社会保障の充実にあてるということだったが、延期により政府はたちまち財源不足に直面することになった。
 この結果、われわれ健保組合が求めてきた高齢者医療への公費拡充、補助金の充実などがさらに厳しい状況になった。しかし、高齢者医療費の負担構造改革などに対するわれわれの活動は変わらない。今後は、いっそう変化していく社会や時代のニーズに即した取り組みが重要になる」と述べた。
 阪口氏は、「短時間労働者への適用拡大、後期高齢者支援金の総報酬割、高額薬剤を含めた医療費の増加などで、健保組合財政は厳しい。加えて介護納付金の総報酬割が通常国会で審議される運びとなる状況だ。これまで健保組合は、保険料率の引き上げや、積立金の取り崩しなどで財政対応をしてきた。今回は、いっそう厳しい環境のなかで、苦しい予算編成を強いられことになる」と述べた。
 また、両氏ともに、健保組合をめぐる29年度の情勢について、マイナンバー制度の活用、後期高齢者支援金の全面総報酬割、介護納付金の段階的総報酬割導入など、法改正関係での課題が多いとした。
 このようななかでも、昨年の健保組合全国大会の副呼称として掲げた「改革の早期実現、次世代へ安心・納得の確保」、スローガンの「高齢者医療費の負担構造改革の早期実現」「現役世代が納得できる介護保険制度の実現」などを目ざし、一致団結して健保連の主張を訴えていくべきと強調した。
 田邊氏は、平成30年度からの特定健診・特定保健指導の第3期計画実施にあたり、29年度は立案の年度となっているところから、とくに同制度と29年度予算との関係について、大要次のように説明した。
 健保組合の特定健診・特定保健指導実施率は高い。しかし、26年度の全保険者の実績は、特定健診が48.6%、保健指導が17.8%。29年度までの保険者全体での目標値は特定健診70%以上、保健指導45%以上で、乖離が大きい。
 この状況を踏まえて現在、第3期の目標値の設定について議論されているが、保険者全体での目標値達成を主眼とするために、実績値が高い保険者には上限値を設けて全体の目標を高める方向である。
 一方、熱心に取り組む健保組合の実施率をある程度公表すべきとの議論があり、実施率が高い保険者の後期高齢者支援金の減算を公表している。29年度実績からは、全保険者について公表する方向で検討されている。
 27年度の国保法等改正により、これまで全保険者で行っていた加算・減算の仕組みが、健保組合は健保組合でというように、同じ医療保険種別のなかで行うよう変更された。また、これまでは事業をまったく行っていない保険者が加算対象だったが、今度は事業を行っていても実施率が低い保険者は加算対象に含まれる。さらに、年度ごとに段階的に加算対象を広げ、加算率も引き上げる仕組みが検討されている。
 これらの仕組みの対象は、保険者の29年度実績からとされているため、予算計上においても留意が必要と考えられる。
◇               ◇
日 時 1月19日(木)
会 場 大阪商工会議所 「国際会議ホール」
内 容 ○平成29年度健康保険組合 予算編成事務等の説明
    ・あいさつ
      近畿厚生局保険課 課長  田邊 毅 氏
    ・予算編成基準の一部改正の要点
    ・平成29年度予算編成にかかる留意事項等
      近畿厚生局保険課 課長補佐  荒川 俊幸 氏
    ・予算届出書の記載および提出上の注意事項等
      近畿厚生局保険課 社会保険業務専門官  谷口 ちはる 氏
    ・個人情報の保護に関する法律 法改正概要
      健保連・組合支援事業部
        業務支援グループ チーフ  春木 匠 氏
出席者 大  阪 170組合 457人  
  福  井 8組合 11人  
  滋  賀 9組合 18人  
  京  都 28組合 59人  
  兵  庫 52組合 103人  
  奈  良 2組合 6人  
  和歌山 3組合 9人