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厚労省はこのほど、平成27年度の「保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」をまとめた。27年度に保険医療機関、保険薬局の指定取り消し処分を受けたのは、取り消し相当を含めて全国で37件。このうち大阪が8件で、都道府県別では最も多かった。保険医等の登録取り消し、取り消し相当は全国で26人。指導・監査等の実施による返還金額は124億3737万円にのぼった。 |
日本の医療は、保険診療がほとんど。医療機関や薬局は、厚労省の地方厚生(支)局長に保険医療機関等の申請をして、指定を受ける。医師、歯科医師、薬剤師も、同様の手続きで登録、保険医等として保険診療に従事できる。
行政当局は、保険診療が常時適正に実施されているか指導・監査等を行う。悪質な不正が明らかな場合には、保険医療機関等や保険医等を取り消す。処分を受けた医療機関等、医師等は処分期間中、保険診療ができない。処分前すでに廃止、登録抹消をしていても、「取り消し相当」として同等の取り扱いを受ける。
平成27年度の保険医療機関等の指導・監査等の実施状況をみると、保険医療機関等に対する実施については、次のとおりとなっている。▽個別指導4403件 ▽新規個別指導6495件 ▽適時調査2562件 ▽監査90件。
監査の結果、取り消し・取り消し相当の処分を受けたのは、全国で保険医療機関等が37件、保険医等が26人だった。保険医療機関等取り消し37件のうち、不正発覚のきっかけとなったのは、保険者等からの情報提供によるものが20件で、過半数を占めた。保険者、医療機関従事者や、医療費通知を受けた被保険者からの訴えによる。
都道府県別の保険医療機関等取り消し状況をみると、大阪府が8件で最も多かった(大阪8件の詳細は、かけはしバックナンバーに掲載)。
診療報酬・調剤報酬請求のうち、詐欺や不法行為にあたるのが不正請求。不正のおもな形態は次のとおり。
▽架空請求=実際に診療していないのに、診療したとして請求 ▽付け増し請求=診療行為の回数・日数、数量、内容等を実際より多く請求 ▽振替請求=実際に行った診療内容を、保険点数の高い他の診療内容に振り替えて請求 ▽二重請求=自費診療を行って患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険でも診療報酬を請求 ▽その他の請求=医師数、看護師数等が医療法の標準数を満たしていないにもかかわらず、入院基本料を減額せずに請求―など。
指導・監査の結果、不正または不当請求が確認され、返還された金額は、124億3737万円にのぼった。内訳は、指導で45億1089万円、適時調査で76億3351万円、監査で2億9297万円となっている。 |
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保険医療機関等の指導・監査の状況 |
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指導・監査による返還金額 |
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