広報誌「かけはし」

■2016年9月 No.540
健保問答 

第 431 回

     
Q
   過去に「うっ血性心不全」の病名で傷病手当金を受給した人(支給期間満了)から、新たに「拡張型心筋症」の病名で傷病手当金の申請がありました。健康保険法でいう「同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病」に関しての考え方をご教示ください。

A
   同一の疾病か再発であるかの判断については、困難な場合が多くあるので、慎重に判断することが大切です。
 明らかな基準は示されておりませんが、取り扱いにおける考え方は、次のとおりです。
 「一回の疾病または負傷で治癒するまでをいうが、治癒の認定は必ずしも医学的判断のみによらず、社会通念上治癒したものと認められ、症状をも認めずして相当期間就業後同一病名再発のときは、別個の疾病とみなす。通常再発の際、前症の受給中止時の所見、その後の症状経過、就業状況等を調査の上認定す。」
(昭和29年3月保文発第3027号・昭和30年2月24日保文発第1731号)

 「医師の附した病名が異なる場合でも疾病そのものが同一なること明らかなときは同一の疾病に該当する。」
(昭和4年8月30日保規第45号)
 再発とは、疾病が一度治癒したと認められることが必要となります。
 治癒の認定は、必ずしも医学的な判断のみによらず、社会通念上の判断として治癒したものと認められれば足ります。
 また、症状を認めず相当期間就労後、同一疾病で治療を受けるようになった場合は、これを別個の疾病とみなします。
 再発の場合は、前症の受給中止時の所見、その後の症状経過、就労状況等を調査のうえ、認定することとされています。
 断続して治療を受けていても、同一疾病の継続しているものは同一疾病であり、医師の付した病名が異なる場合でも、疾病そのものが同一であることが明らかな場合は、同一疾病に該当するものとされています。
 したがって、以下の要件を満たしたものが、後日、同一部位が悪くなり、療養を必要とするに至った場合、別疾病、すなわち再発として取り扱われます。
 @自覚的症状がなくなることA医師の判断により客観的病状が認められないことB診療が終了したことC医師が就労可能と認めたことD一般的に日常生活に異常がないと認められることE療養を中止して相当期間労務に服していること