広報誌「かけはし」

■2016年8月 No.539
健保問答 

第 430 回

     
Q
   平成28年4月から、湿布薬の処方が1処方につき70枚までとなりましたが、70枚を超えて処方しているレセプトの処理(支払基金への再審査請求等)はどのようにしたらいいでしょうか。また、30日を超えた投薬の場合、どのような要件がありますか。

A
   残薬削減等の保険給付適正化の観点から、湿布薬は外来患者に対して1処方につき70枚を超えて処方する場合は薬剤料を算定しないことになっています。
 ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん、および診療報酬明細書に記載することで算定可能となります。
 実際に「部位が広範囲のため」という理由で105枚処方されている事例もあります。この診療報酬明細書には、1日1回、1回2枚、50日分と記載がありましたので、50日以内にまた50日分の処方が連続していないか縦覧点検も必要でしょう。
 また、医薬品の適正使用の推進として30日を超える投薬を行う際には、@長期の投薬が可能な程度に病状が安定していることA患者が飲み忘れなどなく、服薬管理ができることB病状が変化した際の対応方法として連絡先などを教えること―の3つの要件が満たされなければなりません。
 この3つの要件を満たさない場合は、原則として、次のいずれかの対応を行うこととなっています。
(ア) 30日以内に再診を行う
(イ) 200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対してほかの保険医療機関(200床未満の病院または診療所に限る)に文書による紹介を行う旨の申出を行う
(ウ) 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示にかかる処方せんを交付する

 1処方につき70枚の制限となっていますが、「70枚」の判断は、湿布薬の種類ごとに70枚ではなく、処方された湿布薬全体の合計枚数が70枚ということとなります。なお、70枚以下の湿布薬を投与した場合についても、湿布薬の枚数としての1日用量または投与日数を記載することになっています。