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健保連はこのほど、全国1399健保組合の平成28年度予算の早期集計結果を発表した。それによると、215の健保組合が保険料率を引き上げ、平均保険料率は9.103%に上昇したが、経常収支は1384億円の赤字となっている。前期高齢者納付金や後期高齢者支援金など、高齢者医療への拠出金総額は3兆2938億円に達し、保険料収入に対する割合は42.78%を占めた。 |
健保連の平成28年度予算早期集計は、予算データの報告があった1378健保組合の数値をもとに、4月1日現在で存在する1399組合ベースの予算状況を推計した。それによると、経常収入が7兆8157億円、経常支出が7兆9541億円で、差し引き1384億円の赤字となった。
このうち、収入のほとんどを占める保険料収入は、前年度予算と比べて1686億円増(2.24%増)の7兆6995億円となっている。
保険料収入増加のおもな要因は、被保険者数の増加によるもので、それによる影響は1500億円増。ほかに保険料率引き上げで308億円増、平均標準報酬月額110億円減、賞与12億円減が影響した。
調整保険料率を含んだ平均保険料率は、0.081ポイント増加して9.103%となった。これは215組合が料率を引き上げたため。協会けんぽの料率(10%)以上の組合が299組合となり、全組合の2割を超えた。
おもな支出では、法定給付費が1455億円増(3.80%増)の3兆9793億円。高齢者医療への拠出金総額は3兆2938億円で、対前年度比43億円増(0.13%増)の微増にとどまった。これは、前々年度(26年度)納付分の精算戻りが約1400億円あったため。
28年度から3分の2総報酬割となった後期高齢者支援金は、1.10%増の1兆6745億円。前期高齢者納付金と退職者給付拠出金の合計は、0.85%減の1兆6193億円となっている。
この結果、保険料収入に対する拠出金の割合は42.78%となり、4割を超えた。また、拠出金の割合が50%以上の組合は254組合(全組合の18.4%)にのぼり、なかには70%以上の拠出金負担にあえいでいるのが14組合あった。
経常収支赤字の組合は901組合で、全体の6割を超える組合が赤字となっている。赤字を出さない収支均衡とするための実質保険料率は、9.480%。協会けんぽの収支均衡料率(28年度予算で9.52%)に近い値を示した。
健保連は、今後の見通しについて、「標準報酬月額・賞与が伸び悩むなか、支出はますます膨らむことが予想される。健保組合では、保険料率の引き上げ、積立金の取り崩しによる対応は限界に達している。高齢者医療への拠出金負担の増加に対する負担軽減措置の拡充が必要」と分析している。 |
おもな適用状況 |
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おもな収支状況 |
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