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医療保険制度改革関連法案 |
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平成25年8月に社会保障制度改革国民会議がまとめた報告を踏まえて、25年12月に「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(プログラム法)が成立した。
同法には、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るための法案を、27年の通常国会に提出することが明記された。
そして、本格的な検討が社会保障審議会医療保険部会で26年4月から開始された。医療保険部会では、@医療保険制度の財政基盤の安定化(国保に対する財政支援の拡充、国保に関する都道府県と市町村との役割分担、協会けんぽに対する国庫補助等)、A保険料に係る国民負担に関する公平の確保(国保保険料および後期高齢者医療保険料に係る低所得者の負担軽減、後期高齢者支援金の全面総報酬割、国保組合に対する国庫補助見直し、国保保険料の賦課限度額および被用者保険の標準報酬月額等上限引き上げ)、B療養の範囲の適正化(外来および入院に関する給付の見直し等)―などが検討された。
平成27年度にはすべての団塊の世代が前期高齢者になり、すべての医療保険者が財政的に大変厳しい状況にある。このようななかで、皆保険制度を次世代につなぐためには、最大の課題である高齢者医療の負担構造を、これからの社会構造に見合ったものとするための議論が不可欠である。現役世代への過度な依存はすでに限界を超えており、これを解消するためには、前期高齢者医療への公費投入が欠かせない。
健保連は、これらの主張を実現すべく、政府、および国会議員への要請活動を展開し、また、マスコミ関係者、さらには事業主や加入者にも正しく認識していただくための「あしたの健保プロジェクト」を立ち上げ、精力的に広報活動を展開した。
医療保険部会での意見のとりまとめは、26年11月に行われる予定であったが、衆議院の解散・総選挙などにより部会審議は一時中断。翌27年1月13日、政府の社会保障制度改革推進本部において「医療保険制度改革骨子」が決定された。
健保連の大塚陸毅会長は1月15日、「骨子」に対し「コメント」を発表、「国保の財政対策に偏向し、被用者保険を含めた持続可能な制度の構築を志向したものとはいい難い」と指摘。健保連が改革の核心と主張した「高齢者医療の負担構造の見直し」「現役世代に過度に依存する現行制度の是正」は希薄な内容にとどまったとした。
また、29年度の後期高齢者支援金の全面総報酬割により生じる国費を国保財政に投入する案に対しては、「国の財政責任を現役世代に押し付ける肩代わりであり、容認できるものではない」と批判。
一方、拠出金負担の重い保険者に対する国費投入による負担軽減策は「限定的ではあるが評価できる」とした。
その後、「骨子」は「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」(医療保険制度改革関連法案)として3月3日閣議決定され、通常国会に提出された。法案は4月28日に衆院を通過、5月27日に参院本会議において可決、成立した。 |
A |
被用者保険関係5団体が要望書提出 |
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平成26年5月、健保連、協会けんぽ、日本経団連、連合、日本商工会議所の被用者保険関係5団体は、医療保険制度改革に関する共同の要望書をまとめ、田村厚労相(当時)に提出した。
要望事項は、@前期高齢者医療の財政調整の仕組み見直しと公費投入、A後期高齢者支援金の全面総報酬割に伴う国庫補助の削減分の国保への転用に断固反対、B医療費適正化対策の推進、C地域と職域がそれぞれの連帯を基礎に、保険者機能が発揮できる制度体系の堅持―の4項目となっている。 |
B |
平成26年4月から消費税率改定 |
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平成24年8月に成立した社会保障と税の一体改革関連法の改正消費税法により、消費税率は26年4月から、5%から8%へと引き上げられた。
当初、社会保障と税の一体改革では、財政・社会保障の維持可能性を確保するため、消費税収の使途を年金・医療・介護・少子化対策の「社会保障4経費」に限定し、消費税率を5%引き上げることとし、このうち1%(2.7兆円)は子供、子育て支援の充実や医療、介護の充実など社会保障のさらなる充実に、残り4%(10.8兆円)は社会保障財政の安定化に回すこととされていた。
しかし26年11月、衆院が解散となり、あわせて消費税率10%への引き上げについては、29年4月に延期することとなった。 |
C |
12月総選挙、与党が圧勝 |
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安倍晋三首相は11月21日、消費税率10%への引き上げ時期延期と、自らの景気浮揚策を国民に問うべく、衆院を解散した。総選挙は12月14日に行われ、その結果、自民、公明両党が全議席の3分の2を上回る326議席を獲得して圧勝した。
年末総選挙のため、27年度政府予算案の決定は、年明けに持ち越された。 |
D |
平成26年度診療報酬改定 |
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中医協は、平成26年2月12日、診療報酬改定を答申した。3月5日告示、4月1日施行された。急性期医療の厳格化、主治医機能の強化、在宅医療の推進などを診療報酬の側面から促す内容となっている。
改定率は、消費税対応分を含めて診療報酬全体でプラス0.1%改定となった。診療報酬本体の改定は消費税分も含めてプラス0.73%、薬価・医療材料はマイナス0.63%となっている。 |
E |
第6次医療法改正 |
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平成26年6月18日、通常国会で第6次改正医療法が成立した。診療報酬と医療提供体制は、国民医療を支える両輪であり、少子高齢化のピークをひかえ、医療提供体制の再整備を図るものである。
医療機関の病床報告制度の創設、地域医療構想実現のために医療保険者等関係者との協議の場を設定―などを盛り込んでおり、今後、地域レベルでの良質な医療の提供、適正化の議論の進展が期待される。 |