広報誌「かけはし」

■2015年4月 No.523


27年度事業計画・予算を決定

 健保連大阪連合会は3月25日、大阪市北区のホテルモントレ大阪で、平成26年度第2回総会を開催した。総会には141組合が出席、委任状提出34組合を含め、合計175組合が参加した。総会では、大阪連合会の平成27年度事業計画案、同予算案などを審議、承認した。
 総会では冒頭、大阪連合会の山本吉平副会長(兼松連合健保組合常務理事)があいさつに立った。
 山本副会長は、今国会に提出された医療保険制度改革関連法案での後期高齢者支援金の全面総報酬割化について、「まさに国費の肩代わりそのものだ」と批判した。
 そして、「高齢者医療費を国民全体で公平に負担していくためには、われわれが主張する抜本改革への速やかな取り組みが必要」と強調した。
 続いて、来賓として出席された近畿厚生局の大西正洋保険課長があいさつを行った。
 大西課長はこのなかで、平成27年度健保組合予算編成における一般保険料率の状況を説明した。
 それによると、近畿厚生局管内275組合のうち61組合が3月1日から料率を変更。内訳は、引き上げが57組合、引き下げが4組合となっている。4月からの引き上げ予定2組合を含めると、料率引き上げは59組合となる。その結果、一般保険料率の設定状況は、全体の4分の1以上の71組合が10%以上の料率となり、とくに総合組合では半数以上が10%以上の料率となっているという厳しい状況を示した。
 この後、議事に入り堀精宏副会長(パナソニック健保組合専務理事)が議長となって、大阪府電気工事健保組合、山善健保組合の2組合を議事録署名者に指名した後、議案の審議を行った。
 総会終了後には、来賓として出席された健保連本部の池上秀樹理事、渡辺金次郎IT推進部長による「医療保険をめぐる中央情勢報告」があった。

 ●総会の経過
 議案第1号
 平成27年度事業計画(案)
 議案第2号
 平成27年度収入支出予算(案)
 議案第3号

 平成27年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること

  以上の3議案を一括上程し、いずれも原案どおり承認された。
 議案第4号

 平成26年度被用者保険運営円滑化推進事業会計収入支出予算および同説明(案)

  以上、原案どおり承認された。
 議案第5号(追加議案)

 学識経験理事選出の同意

   川隅専務理事から次の説明があった。安藤力会長から3月末日での退任申し出があり、3月11日の理事会で承認。新しく小笹定典(おざさ さだのり)氏を選出した。規約の定めにより、本総会での同意を得たい。
  以上、異議なく承認された。

 ●健康保険組合をめぐる諸情勢
 
(1)医療保険制度等を取り巻く諸情勢
   政府は今年1月、「医療保険制度改革骨子」を決定した。一昨年12月に成立した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(プログラム法)」に沿ったもので、医療保険制度関連法案として平成27年通常国会から審議される。
 「骨子」では次の8項目が改革課題としてあげられた。@国民健康保険の安定化、A高齢者医療における後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入、B協会けんぽの国庫補助率の安定化と財政特例措置、C医療費適正化計画の見直し、D個人や保険者による予防・健康づくりの促進、E負担の公平化等、F患者申出療養(仮称)の創設、G今後さらに検討を進めるべき事項―の8項目である。この中で、高齢者医療における後期高齢者支援金は、3分の1総報酬割から、27年度は2分の1、28年度は3分の2に総報酬割を拡大し、29年度からは全面総報酬割とした。全面総報酬割により削減される国費2400億円のうち1700億円を国保の財政支援に投入。全面総報酬割の導入により健保組合は1300億円の負担増、さらに前期高齢者加入率の調整で200億円の負担増、合わせて1500億円の負担増となる。
 厳しい財政の健保組合に重くのしかかる高齢者医療への負担。そのうえ拠出金の重圧が加わり、さらにわれわれが主張してきた高齢者医療制度の抜本的見直しが先送りされたことは非常に遺憾である。
 今後は、特に消費税率10%へ移行される29年4月を目途にして、健保連大阪連合会は各関係団体との連携を強化しつつ、高齢者医療制度はじめ医療保険制度の改革改善を、粘り強く訴えていくことが重要である。
(2)健保組合(大阪)の財政状況
   健保組合の財政状況について、平成26年度予算では、保険料収入の半分を占める高齢者医療拠出金が過重な負担となり、約8割の組合が経常収支で赤字となっている。
 さらに27年度からは、後期高齢者支援金の総報酬割引き上げの政府方針が固まっている。総報酬割の引き上げにより拠出金負担が減少する健保組合もあるが、負担が増える健保組合ではさらなる保険料率引き上げで対応せざるを得ない状況である。
 健保組合は、27年度からのデータヘルス計画の活用などで効果的な保健事業に取り組む。27年度には団塊の世代が全て前期高齢者になる事も視野に入れ、増大する医療費の適正化対策として、従来にも増してレセプト点検、療養費の適正化および後発医薬品の使用促進等きめ細かい取り組みを行わなければならない状況にある。
(3)大阪連合会の事業等
   大阪連合会では、各健保組合・各地区会をはじめ、理事会・各委員会において、常に真摯な議論を重ねて、当面する課題に取り組んでいる。
 本年度も、次の事業計画に基づき、所期の目的を達成すべく、事業活動を実施する。


事 業 計 画
 
〔基本方針・活動〕
(1)重点事業活動
   医療・介護保険制度への対応、および保険者機能の強化に向け、会員組合の協力を得ながら、健保連本部との連携を密にして、次の事項について取り組む。
  @理事会・委員会・地区会活動を積極的に推進する。
A健保連の主張を国政の場に反映させるため、政党・国会議員への効果的な要請活動を推進する。
B機関誌「かけはし」やホームページなどの広報活動を通じて、健保連の主張や活動の周知を図り、理解度を高める。
C「レセプト管理・分析システム」の活用による、保険者機能強化への支援を行う。
Dデータヘルス事業の円滑な実施に向けて、保険者機能強化への支援を行う。
E社会保障・税番号制度について健保組合の円滑な導入に向けて支援を行う。
F健保組合全国大会への積極的な参加を推進する。
G健保組合の円滑な運営のため、行政機関と密接な連携を保つ。
H関経連、連合大阪、協会けんぽ大阪支部との連携を図る。
I医師会等医療関係団体とは意見交換を通じて相互理解を深める。
J大阪府保険者協議会では、医療費の適正化や有効な保健事業について健保組合の意向を反映させる。
K国保運営協議会へは、被用者保険サイドの意向を反映させるよう積極的に参加する。
L「けんぽれん病院情報『ぽすぴたる!』」への登録促進について、引き続き積極的に取り組む。
M近畿地区各連合会と密接な連携を図る。
N他府県の健保組合も加えた保健事業等に取り組み、連帯感を醸成する。
Oその他、時宜に応じた諸対策を実施する。
(2)組織活動
   組織活動の強化を図り、次の事項を実施する。
  @理事会および総会を開催する。
A地区会長会議、各種委員会等を開催する。
B地区会を中心とした諸活動を支援する。
(3)組合運営に対する支援活動
   会員組合の円滑な業務推進に資するため、次の事項を実施する。
@会員組合専用サイトを立ち上げ、円滑な情報提供・充実を図る。
A組合予算編成等事務説明会を開催するなど、行政機関および健保連本部と連携を密にして支援する。
B永年勤続者表彰式を挙行する。
C会員組合の保健事業、医療費適正化対策の推進を支援する。
D会員組合に有効な健保事務、法律、レセプト・保険給付、特定健診・特定保健指導等の相談事業を充実する。
〔事業活動〕
1.広報活動の推進
 広報活動の充実を図るため、次の事業を実施する。
(1)機関誌「かけはし」の発行
@誌面の充実を図り、月1回発行する。
A次の項目を重点的に掲載する。
・医療・介護保険制度改革関連(高齢者医療の負担構造改革、健保組合に対する国の財政支援の強化等)。
・医療費適正化関連と健康づくり関連。
・大阪連合会の事業活動。
・会員組合の財政状況と地区会の事業活動。
・政党・国会議員への要請活動。
(2)広報活動の強化
@会員組合の事業活動の推進に役立つようホームページの充実を図る。
A会員組合が行う広報活動に役立つ広報研究会を開催する。
B会員組合の広報活動に具体的に役立つ広報資料を提供する。
(3)関係団体等に対する対外広報の強化
   次の関係団体等への機関誌配布を通じ、健保連の主張と事業活動への理解の浸透を図る。
・国会議員(大阪府選出および社会保障関係)。
・経営者団体・労働団体および医療関係団体。
・その他、必要な関係者。

2.会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・合理化の推進
 会員組合の円滑な事業運営を支援するため、次の事業を実施する。
(1)会員組合役職員の資質向上
@事務長研修会を開催する。
A組合業務別実務講習会(適用・給付・庶務会計・徴収)を開催する。
B初任者実務講習会を開催する。
C個人情報保護研修会を開催する。
D後発医薬品に関する講習会を開催する。
E健保事務相談を実施する。
(2)組合業務の改善・合理化の推進
    パソコン研修会を開催する。
(3)保険者機能の強化
    @レセプト管理・分析システムの活用等研修会を開催する。
Aデータヘルス事業に関する研修会を開催する。

3.医療費適正化対策の推進
 医療費の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。
(1)行政機関・医療関係諸団体との連携強化
@近畿厚生局・医療関係団体との連携を図る。
A大阪府保険者協議会医療費調査部会との連携を図る。
B国保運営協議会委員の活動強化を図る。
(2)審査支払機関との連絡・調整の緊密化
事務連絡協議会を開催し、審査結果事例等について審査委員との意見交換を行い、結果資料を提供する。
(3)医療費適正化に関する情報の収集と活用
@関係各方面からの情報収集および情報提供の促進を図る。
Aレセプトおよび特定健診・特定保健指導データの分析活用を図る。
B柔道整復療養費に関する情報の収集を行い、適正化を促進する。
C後発医薬品の使用促進を図る。
(4)レセプト点検等に関する研修会の実施
@レセプト確認事務に関する研修会を開催する。
A柔道整復・鍼灸・マッサージ療養費に関する研修会を開催する。
B求償事務に関する研修会を開催する。
(5)医療対策室の活動強化
レセプト・保険給付相談を実施する。

4.保健共同事業の推進
 会員組合における保健事業の円滑な実施が図れるよう支援する。
(1)健康教育の実施
生活習慣病対策に加えて、がん予防・メンタルヘルス等をテーマに研修会を開催する。
(2)保健師活動の実施
@保健師による特定健診・特定保健指導の円滑な実施を支援する等、相談事業を実施する。
A保健師の資質向上を図るため、研修会等への参加を支援する。
B保健師連絡協議会活動を支援する。
(3)大阪府保険者協議会との連携
保健活動部会との連携を図る。
(4)感染症対策
    エイズ、インフルエンザ等感染症対策の普及啓発に努める。
(5)共同利用施設の契約
    ・保養施設の共同利用の契約。
・プール利用券の斡旋。
(6)健康づくり活動の推進
    @生活習慣や生活環境が健康に及ぼす影響などの啓発活動に努める。
A健康ウオーキング等、各種健康づくり活動を後援する。

5.総合組合の運営推進
 総合組合の運営に資するため、次の調査・研究事業を実施する。
    @総合組合の実態に関する調査資料を作成するとともに、財政状況を分析し検討する。
Aデータヘルス計画の効果的な実施について検討する。
BIT化による組合業務推進について検討する。
C協会けんぽと財政状況等について比較し検討する。


平成27年度 収入支出予算概要
(単位 千円)