広報誌「かけはし」

■2015年3月 No.522


 厚生労働省はこのほど、「平成25年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について(概況)」を公表した。保険診療を取り扱う病院・診療所、歯科診療所、調剤薬局に対して、地方厚生局等が行った指導・監査の状況をまとめたもので、件数、返還額ともに前年度より増えている。
 それによると、診療報酬の自主返還措置が取られる可能性をともなう「個別指導」を受けた保険医療機関等は4400件、返還額は34億1903万円。前年度と比較してみると、件数は98件増、返還額は6億3696万円減となっている。
 入院基本料における看護配置基準の充足状況などを随時調査する「適時調査」を受けたのは2508件(対前年度比99件増)、返還額は61億7508万円(同10億4983万円減)である。
 不正や著しい不当が疑われる場合に実施される「監査」は94件(対前年度比3件減)で、返還額は50億1756万円(同32億5957万円増)となっている。「監査」1件あたりの返還額が3倍近く増加したことがわかった。
 一方、監査等の結果による医療機関等の保険指定取消・取消相当処分は59件(対前年度比13件減)。保険医等の登録取消・取消相当処分は26人(同16人減)となった。
 大阪府下では、医療機関等の取消・取消相当処分は13件、保険医等の登録取消・取消相当処分は5人だった。なかには、当局が健康保険法等に基づく監査を実施する旨を通知したところ、開設・管理者および保険医である者が、正式な理由がなく、監査の出頭を拒否したことで処分されたものもある。
 また、特定会社系コンタクトレンズ診療所に対する指定取消相当処分が、近畿厚生局管内で19件と多くなっている。
 医療機関などの取消処分等の原因のほとんどは、「不正請求」だ。不正請求のなかには、次のようなものがある。
 実際には行っていない保険診療を、行ったものとして診療報酬を請求する「架空請求」。実際に行った保険診療に、行っていない保険診療を付け増して診療報酬を請求する「付増請求」。実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を請求する「振替請求」。自費診療として患者から費用を徴収しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を請求する「二重請求」―などだ。
 取消・取消相当処分を受けた医療機関等は、取消(相当)年月日から原則として5年間は、再指定が行われない。保険医に対しても同様だ。取消相当処分とは、通知における取消年月日以前に、保険医療機関等の廃止等が届出されていた場合の取り扱いで、内容は取消処分と同様である。