広報誌「かけはし」

■2014年11月 No.518
健保問答 

第 409回

     
Q
   通勤災害を判断するには、どのようなことに留意すればいいか、教えてください。

A
   「通勤」は、業務に就くために必要不可欠な行為です。労災保険法における通勤災害については、労災保険法からの給付が優先されます。いい換えると、業務外の事由による給付を目的に定めた健康保険の対象外になるということです。
 では「通勤」とは、どういうことをさすのかというと、労働者が就業に関して、住居と就業の場所との間を合理的経路および方法により往復する行為のことです。したがって、労災保険法適用の通勤災害は、その負傷等の原因が通勤と相当因果関係のあることが必要になります。
 合理的経路および方法であるかどうかを判断するには、それぞれの事故について、過去の判例等を参考にすることになります。実際の事故にはさまざまなケースが考えられるからです。
 被保険者・家族において、通勤災害と疑われる事例で健康保険の給付申請等が行われた場合、健康保険の保険者は、まずは労災保険の請求を促し、健康保険の給付を留保することができます。
 ただし、留保にあたっては、保険者において、関係する医療機関等に連絡を行うなど、十分に配慮することが求められています。
 これから忘年会・新年会のシーズンに入ります。会社行事の宴席からの帰り道で転んでケガをした場合等に、労災が適用されるかは判断が難しいところです。ご注意ください。