広報誌「かけはし」
 
■2014年7月 No.514
 第186通常国会は150日間の会期を終え、6月22日に閉会した。6月18日には、医療提供体制の整備をめざす第6次改正医療法が成立した。医療機関の病床報告制度の創設、地域医療ビジョン実現のため医療保険者など関係者との協議の場設置――などが骨子。改正のほとんどは平成26年10月以降、順次施行される。
 今回の医療法改正案は、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」として、介護保険法改正案などと一括で国会審議された。
 地域での効率的・効果的な医療提供体制の確保を目的とした今回改正のおもな要点は、まず、医療機関が都道府県知事に病床の医療機能を報告する制度を設けることだ。
 これまで、慢性期の患者が急性期病床に数多く在院、医療機能と患者の状態とのマッチング、医療費適正化の両面から課題とされていた。
 今後は、高度急性期、急性期、回復期、慢性期など、病床の医療機能を各医療機関が自主的に選択し、都道府県に報告する。それによって、医療資源の集中投下による機能強化を図ることとした。今年10月から施行の予定だ。
 また、医療機関の報告をもとに都道府県が地域医療ビジョンを策定、医療計画にも反映させる。地域医療ビジョンの実現のためには、@医療保険者ほか関係者との協議、A都道府県知事の権能の明確化、B医療計画策定時と変更時に保険者協議会の意見を聴く――などが図られる。これらは来年4月から施行予定。
 このほか、国や地方公共団体の医療機関情報提供強化、有床診療所の入院制限(48時間)撤廃、医療施設間の連携体制構築、必要な医療に対する都道府県の医療従事者確保策明示――など、医療提供体制全般にわたる改革施策を盛り込んだ。

社会保障制度改革推進会議スタート
 「プログラム法」にもとづく社会保障制度改革推進会議が6月12日、内閣に設置された。昨年の社会保障制度改革国民会議の審議結果などを踏まえて、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を検討するのが目的だ。
 高齢化のピーク時(平成37年)を展望、年金、医療、介護、少子化の社会保障4分野の検討を行い、必要に応じて総理大臣に建議する。
 設置当初は、有識者11人の構成によるスタートとなった。このうち8人は、昨年8月まで1年間設置されていた国民会議のメンバーとなっている。会議の設置期限は5年以内、委員の任期は2年。
 先に社会保障制度改革推進本部が設置されており、これで政府内の中長期を見据えた検討体制が整った。推進会議の委員、推進本部のメンバーは次のとおり。

社会保障制度改革推進会議
 伊藤元重(東大大学院教授)、遠藤久夫(学習院大経済学部長)、大日向雅美(恵泉女学園大大学院教授)、権丈善一(慶大教授)、神野直彦(東大名誉教授)、清家篤(慶応義塾長)、武田洋子(三菱総合研究所主席研究員)、土居丈朗(慶大教授)、増田寛也(東大大学院客員教授)、宮島香澄(日本テレビ解説委員)、山崎泰彦(神奈川県立保健福祉大名誉教授)

社会保障制度改革推進本部
 本部長・安倍普三(総理大臣)、副本部長・甘利明(社会保障・税一体改革担当大臣)、本部員(以下同じ)・麻生太郎(副総理・財務大臣)、菅義偉(官房長官)、新藤義孝(総務大臣)、田村憲久(厚生労働大臣)、森まさこ(内閣府特命担当大臣〈少子化対策〉)