広報誌「かけはし」
 
■2014年6月 No.513


 
 健保連大阪連合会管内168健保組合の平成26年度(2014年度)予算概要が、このほどまとまった。予算規模は総額9000億円超だが、経常収支は464億円の赤字。高齢者医療制度が創設された平成20年度以降、7年連続の大幅な赤字となった。赤字の組合は137組合で、全体の8割を超えている。保険料収入に対する各種拠出金の割合は44.47%で、法定給付費を合わせた義務的経費の割合は99.15%に達し、100%に迫った。組合財政は高齢者医療への拠出金の影響で、いぜん苦しい状況が続いている。

  表1.適用状況  

○適用状況
 健保組合数は対前年度比6組合減の168組合。被保険者数は1万6614人減少して165万7135人。被扶養者数は4万5654人減少して154万4120人。扶養率は0.93となった。被保険者数、被扶養者数の減少は、おもに組合数の減少による。
 平均標準報酬月額は334円増の36万6393円。平均標準賞与額は1万9751円増の103万9176円。平均標準報酬総額は2万3766円増の543万5895円となっている。
 平成26年度当初の保険料率引き上げ組合は、全体の32.74%にあたる55組合(表3)。この結果、平均保険料率(調整含)は、前年度より0.27ポイント上昇して8.96%となった。高齢者医療制度への拠出のための特定保険料率は4.18%となっている。
 65〜74歳の前期高齢加入者数は5395人増の11万9170人。加入率は2.24%となっている。
 
○経常収支状況
 経常収入合計は対前年度比1.62%増の8138億4616万円。おもな経常収入は、保険料収入の7935億3829万円(対前年度比1.69%増)など。被保険者数は減少、標準報酬月額は微増だったが、賞与の伸びが保険料収入の増加に影響したとみられる。
 ほかに経常外収入として繰越金82億5599万円、積立金繰入539億8737万円などがある。保険料率引き上げを極力回避するために積立金繰り入れで対応しているが、対前年度比では30.13%減となっており、底をついてきた模様。来年度以降の料率引き上げが懸念される。
 経常支出合計は対前年度比0.96%減の8602億2905万円。おもな経常支出は、法定給付費が4339億0502万円(対前年度比0.61%増)。高齢者医療制度等への拠出金の合計が3528億7736万円(2.70%減)。
 その内訳は、後期高齢者支援金と老健拠出金の計が1750億0659万円(1.18%減)、前期高齢者支援金と退職者給付拠出金の計が1778億7076万円(4.15%減)。
 この結果、経常収支差引額は、463億8289万円の赤字となった。赤字額は前年度より212億7403万円縮小した。精算調整などで拠出金合計が前年度より97億9603万円減った影響が大きい。
 しかし、赤字基調に変化はなく、大幅な赤字は高齢者医療制度が創設された平成20年度以降、7年連続となった。
 
○財政状況
 経常収支が赤字の組合は137組合(全組合の81.55%)で、8割を超えている。赤字のおもな要因は、高齢者医療への拠出金。保険料収入に対する拠出金の割合は44.47%となっている。この割合が50%以上の組合が55組合あり、最高80%を超える組合もある。
 保険料収入に対する義務的経費(法定給付費と拠出金の合計)の割合は99.15%に達し、保険料収入のほとんどすべてが義務的経費のみで消えることになる。
 経常支出相当額を保険料率に換算した実質保険料率は9.62%となった。前年度は9.54%だったため0.08ポイント上昇、財政悪化がより強まったことを示している。協会けんぽの保険料率(10%)以上の実質保険料率となったのが64組合(38.10%)あり、このうち賦課保険料率の法定上限(12%)以上となったのが前年度より3組合増えて11組合あった。
 保険料率引き上げ組合は55組合。前年度64組合、前々年度88組合であり、料率引き上げの傾向は変わらず、厳しい状況が続いている。
 
  表2.おもな収支状況  
  表3.財政指標  

○おもな指標に関する組合数分布
 おもな指標について、組合数の分布をみたのが下記のグラフである。
 表4は被保険者数別組合数であり、組合規模の分布をみたもの。最大15万人以上の組合がある一方、700人未満の組合が17組合ある。1000人以上5000人未満が60組合で、全体の3分の1強を占めている。
 表5は調整保険料を含んだ保険料率別組合数。協会けんぽの今年度料率(10%)以上が39組合(全体の23.21%)あり、前年度より11組合増えた。低いところでは6%未満が2組合ある。
 表6は保険料収入に対する拠出金の割合別組合数。保険料収入の大半の75%以上を拠出金に充てる組合が3組合あった。大阪平均(44.47%)のランクに位置する40%以上50%未満の組合が81組合で、約半数となっている。
 表7は実質保険料率別組合数である。それによると、最高13%以上という組合があった。逆に低いところでは、最低5.5%未満の組合もあった。8%以上10%未満の組合が84組合で、全体の半数を占めた。

  表4.被保険者数別組合数     表5.保険料率別組合数  

表6.保険料収入に対する拠出金の割合別組合数   表7.実質保険料率別組合数