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厚生労働省はこのほど、「平成24年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について(概況)」を公表した。保険診療を取り扱う病院・診療所、歯科診療所、調剤薬局に対して、地方厚生局等が行った指導・監査の状況をまとめたものだ。 |
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それによると、診療報酬の自主返還措置が取られる可能性をともなう「個別指導」を受けた保険医療機関等は4302件。返還額は、新規個別指導分を含めて40億5599万円となっている。前年度と比較してみると、件数は347件増、返還額は19億7845万円増で、件数・金額ともに増えている。
入院基本料における看護配置基準の充足状況などを随時調査する「適時調査」は2409件(対前年度比135件増)で、返還額は72億2491万円(同16億4358万円増)。
不正や著しい不当が疑われる場合に実施される「監査」は97件(対前年度比64件減)で、返還額は17億5799万円(同11億2286万円増)となっている。「監査」1件あたりの返還額は大きく増加したことがわかった。
一方、監査等の結果による医療機関等の保険指定取消・取消相当処分は72件(対前年度比27件増)。また、保険医等の登録取消・取消相当処分は42 人(同8人増)となった。大阪府下では、医療機関等の取消・取消相当処分は9件、保険医等の登録取消・取消相当処分は3人だった。
医療機関などの取消処分等の原因のほとんどは、「不正請求」だ。不正請求のなかには、次のようなものがある。
実際には行っていない保険診療を、行ったものとして診療報酬を請求する「架空請求」。実際に行った保険診療に、行っていない保険診療を付け増して診療報酬を請求する「付増請求」。実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を請求する「振替請求」。自費診療として患者から費用を徴収したにもかかわらず、保険診療したように装い、診療報酬を請求する「二重請求」―などだ。
取消・取消相当処分を受けた医療機関等は、取消(相当)年月日から原則として5年間は、再指定が行われない。保険医に対しても同様だ。
取消等処分に至ったきっかけは、保険者の医療費通知にもとづく被保険者等からの通報などからだ。その数は38件で、1年間の処分件数の半数以上を占めている。保険者による医療費通知の取り組みが効果をもたらしたといえる。
取消相当処分とは、通知における取消年月日以前に、保険医療機関等の廃止等が届出されていた場合の取り扱いで、内容は取消処分と同様である。 |
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