広報誌「かけはし」
 
■2014年3月 No.510
健保問答 

第 401回

     
Q
 出産育児一時金に関連して、産科医療機関と妊産婦から国民生活センターに、産科医療補償制度の掛金(1分娩当たり3万円)の一部返還を求める申し立てが出された、という記事を見ました。この保険料は、誰が支払っているのでしょうか。

A
 産科医療補償制度には、ほとんどの産科医療機関等が加入しています。また、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児の医療補償を取り扱う運営組織として、(公益財団法人)日本医療機能評価機構があります。評価機構から損害保険会社に、民間保険の保険料として支払われていますが、もとの原資は、健康保険法施行令第36条により、健保組合などの保険者が負担しています。
 保険者は、被保険者・家族の分娩があったとき、多くの場合、医療機関等から提出された専用請求書にもとづき、出産育児一時金等(39万円)に掛金(1分娩当たり3万円)を加算。合計42万円を請求元の医療機関等に支払います。この仕組みを「直接支払制度」と呼んでいます。
 これにより、被保険者・家族は、分娩に際して一時的に多額の現金を用意しなくて済み、経済的負担が軽減されるようになりました。
 なお、「直接支払制度」によらずに、医療機関等が保険者からの出産育児一時金等の受け取りを代理する「受取代理制度」、分娩した被保険者等が出産育児一時金等を保険者へ請求する旧来からの「償還払い」も可能です。
 ところで、平成21年1月からスタートした産科医療補償制度は、補償対象件数が極端に少ないため、保険料の剰余金が毎年積み増しされるなど、非効率さが目立ち、現在、制度の見直し作業が行われています。