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政府は、昨年末の平成26年度予算編成過程で、今年4月からの診療報酬改定にかかる改定率を決定した。改定率は、消費税増税への対応分と、薬価・材料価格の引き下げなどを含めて、全体で0.1%の引き上げとなった。増税対応分を除けば、1.26%の引き下げとなる。 |
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改定率0.1%アップの決定により、診療報酬は4月から、この範囲内で消費税増税への対応、診療技術料の見直し、薬価・材料価格の引き下げ―などの施策が一体的に図られる。
全体では0.1%アップとなったが、増税対応分を除けば、薬価・材料価格の引き下げの影響で、1.26%のマイナス改定となる。実質マイナスの改定は、平成20年度以来、6年ぶりのことだ。
改定率の内訳は、次のようになっている。
まず、消費税増税への対応分を含めて、診療報酬本体が+0.73%(各科別では医科+0.82%、歯科+0.99%、調剤+0.22%)、薬価改定等が△0.63%(薬価△0.58%、材料価格△0.05%)で、差し引き+0.1%となる。
診療報酬本体の+0.73%のうち、消費税増税対応分は+0.63%となっている。このため、増税への対応策がなければ、診療報酬本体は0.1%アップということだ。
薬価・材料価格は、△0.63%となっているが、このなかには増税対応分+0.73%も含まれている。それがなければ、価格はさらに下がり、1.36%ダウンとなる。
したがって、増税対応分を織り込まない改定ベースでみると、診療報酬本体0.1%アップ、薬価・材料価格1.36%ダウンで、実質1.26%のマイナス改定ということになる。
閣議決定を前に、昨年11月15日、中医協(中央社会保険医療協議会、会長=森田朗学習院大学教授)の支払側6団体(健保連、国保中央会、協会けんぽ、海員組合、日本経団連、連合)は、代表者の連名で田村憲久厚生労働大臣あてに、診療報酬全体でのマイナス改定などを要請していた。
要請書では、薬価・材料価格の引き下げ分を診療報酬本体の引き上げに充当するという、これまでの改定で繰り返して行われてきたことをやめ、国民に還元すべき、などを指摘していた。
また、消費税増税との関連では、国民の負担が増加するなかで、さらに診療報酬が引き上げられれば、足もとの経済再生の動きにブレーキをかける懸念もある、とけん制していた。
大ワクの改定率が決まったが、個別の医療行為の単価や薬価などは、今後、中医協での集中審議を経て決まる予定。中医協は、支払側7人、診療側7人、公益側6人の委員で構成されている。 |
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