 |
平成25年度(2013年度)健康保険組合全国大会が11月22日(金)、東京・丸の内の東京国際フォーラム・ホールAで開催された。「改革の実現と健康保険組合の存続なくして皆保険の維持なし!」と副呼称を掲げた全国大会には、健保組合関係者約4000人が参集した。大阪からは約200人が参加した。
平成25年度予算早期集計によると、全国1420の健保組合で4500億円を超える経常収支赤字を計上。赤字組合の割合は8割を超えている。その第一の要因は、高齢者医療制度への拠出金にある。同制度が創設された平成20年度から25年度までの拠出金の累計額は17兆円にも達する。このため健保組合は6年連続で巨額の赤字となり、もはや存続さえ危うい状態にある。
全国大会では、健保連の平井克彦会長が基調演説を行った。平井会長は、「最近の状況をみると、社会保障改革はまったく進んでいない」と指摘した。
この状況を踏まえて、当面なすべきこととして「消費税増税のタイミングを逃すことなく、高齢者医療制度、なかんずく前期高齢者医療に対する公費投入を勝ち取ること。医療費適正化施策の推進と保険者機能の発揮を通じて、健保組合の存在意義を示すこと」―と強調した。
続いて、健保連の白川修二専務理事が、「改革の実現と健康保険組合の存続なくして皆保険の維持なし!」とした大会決議の趣旨を説明した。そして、決議と4つのスローガン(@前期高齢者医療への公費投入の早期実現、A高齢者医療の負担構造改革と持続可能な制度の構築、B持続性ある制度に不可欠な医療費適正化の推進、C保険者機能を発揮できる健康保険組合方式の維持・発展)が、満場一致で採択された。決議文は、すぐ壇上で、榮畑潤厚生労働審議官に手交された。
このあと、厚生労働大臣あいさつ(榮畑厚生労働審議官代読)、政党代表あいさつ(自民、公明、民主)、関係団体代表あいさつ(日本経団連、連合、協会けんぽ)があった。また、時事通信社の田ア史郎解説委員による「これからの政治に求められること」をテーマにした特別企画・講演があった。
全国大会は、クボタ健保組合の阪口克己常務理事(大会運営副委員長)の閉会の辞で幕を閉じた。 |
 |
|
平井健保連会長が決議文を手交 |
真に公平で持続可能な医療保険制度の確立に向け、我々健康保険組合は、社会保障と税の一体改革に期待していたところである。しかし、社会保障制度改革国民会議の報告は到底抜本改革と呼べるものではなく、改革は実質的に先送りされる結果となった。一方、現下の医療保険財政は極めて厳しく、改革の実現には一刻の猶予もない、まさに待ったなしの状況である。
健康保険組合の財政は、平成25年度予算において、4500億円を超える赤字を計上し、赤字組合の割合は8割を超えている。高齢者医療制度への支援金・納付金は3兆円を超え、保険料収入に対する割合は過去最高の46.25%にも達している。20年度以降に拠出した総額は17兆円にも達し、もはや負担は限界を超え、健康保険組合の存続さえ危うい状態である。
この危機的な財政状態を招いている最大の要因は、高齢者医療への過重な費用負担にある。増大する高齢者の医療は、広く国民全体で支えるべきものであり、現役世代の保険料による支援に過度に依存することはすでに限界に達している。特に公費の投入がない前期高齢者医療へ適切に公費を投入し、過重な現役世代の負担の軽減を図るべきである。
加えて、健康保険組合の安定運営に向けて、現行の高齢者医療制度の負担方法をはじめとする不合理な仕組みを早急に是正すべきである。
また、年々医療費が増大する中では、医療費の効率化・重点化を行わない限り制度を維持することは困難である。国全体で医療費の適正化に、より積極的に取り組むことが強く望まれる。
全国3000万人の健康を守り支える健康保険組合は、効率的・効果的に保険者機能を発揮できる保険者であり、これからも医療保険制度の中核として、皆保険制度の維持・発展に向け使命感を持って取り組む所存である。国民の安心確保に向け、皆保険制度を守り、次世代へ引き継いでいくために、次の事項の実現を期し、組織の総意をもってここに決議する。
平成25年11月22日
改革の実現と健康保険組合の存続なくして皆保険の維持なし! |
平成25年度 健康保険組合全国大会 |
 |
前期高齢者医療の財政調整における「納付金」負担は、団塊の世代の前期高齢者入りに伴い増大し、健康保険組合をはじめとする医療保険財政をより一層深刻な状況に陥れている。今こそ、消費税の税率引き上げ分の財源を活用し、65歳以上の高齢者の医療を支える国の責任を公費投入という形で明確に示すべきである。 |
 |
 |
持続可能な医療保険制度の構築は、国民医療費の約6割に達しようとしている高齢者医療費の負担構造の改革なしにはあり得ない。公費負担の拡充と応分の患者負担により、現役世代に偏った負担を解消し、世代間の負担の公平を図るとともに、現行の不合理な負担方式を是正して、制度の持続性を確保するべきである。 |
 |
 |
毎年、1兆円以上も増え続ける国民医療費。超高齢社会においても持続可能な医療保険制度を構築するために、国は診療報酬の合理化や医療機関の機能分化・連携、ジェネリック医薬品の使用促進などによる医療費適正化を強力に推進すべきである。 |
 |
 |
健康保険組合は、事業主と連携して効率的・効果的な保健事業等を展開している。殊に加入者の特性に応じたきめ細かな保健事業を実施することで、健康の保持増進のみならず健康寿命の延伸にも寄与している。優れた保険者機能を発揮できる健康保険組合方式を将来に亘って維持し、発展させるべきである。 |
|
|
 |
 |
|
 |