■2013年4月 No.499
第 390回
本年4月から厚生労働大臣が定める現物給与の価額の取り扱いが改正されますが、その内容および留意すべき点を教えてください。
健康保険法第46条第1項において、「報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。」とされています。
従来、この価額の適用については、原則として適用事業所の所在地が属する都道府県の価額とされており、次の事例のとおり、適用事業所に支店等がある場合、現物給与の価額の適用が異なるという問題が生じていました。
@
本社(東京)、支店(大阪)が各々適用事業所
本社、支店の各々の所在地の都道府県の価額を適用
A
本社(東京)に支店(大阪)をまとめて1つの適用事業所
本社の所在地の都道府県の価額を適用
したがって、@、Aのいずれに該当するかによって、支店(大阪)勤務者の現物給与の価額が異なることになります。
今般、現物給与の価額については、本来、生活実態に即した価額になることが望ましいとの観点から、原則として実際の勤務地が属する都道府県の現物給与の価額を適用するよう定められました。その結果、事例Aについては、今後は大阪府の価額が適用されることになります。
その他、次の雇用形態にある者についても、それぞれ取り扱いが示されています。
A派遣労働者 派遣元事業所が所在する都道府県の価額を適用
B在籍出向、在宅勤務等、適用事業所以外の場所で常時勤務する者 当該者が使用される事業所の所在する都道府県の価額を適用
Cトラック運転手等、常時勤務する場所の特定が困難な者 当該者が使用される事業所の所在する都道府県の価額を適用
なお、健康保険組合においては、現物給与の内容の明確な把握、評価、具体的な算定が可能と考えられることから、組合規約で厚生労働大臣の定める価額と異なる価額を定めることができるとされています。(健康保険法第46条第2項)
また、今般の改正により、現物給与の価額の適用が変更された者については、固定的な賃金の変更が生じることになるため、随時改定の対象として取り扱われることに留意しましょう。