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健保連(平井克彦会長)はこのほど、平成23年度(2011年度)の全国の健保組合の決算見込みをまとめた。経常収支は3489億円の赤字で、高齢者医療制度が創設された20年度以降、4年連続で3000億円を超える巨額の赤字となった。約4割の組合が保険料率を引き上げても、支出額をカバーするにはほど遠い状況だ。赤字の最大の要因は、高齢者医療制度への納付金と支援金。その合計額は、前年度より2302億円増えて2兆8721億円に達し、保険料収入に対する割合は44.1%となった。 |
決算見込みは、全国1443健保組合の平成23年度の収支状況をまとめたもの。それによると、経常収支は3489億円の赤字で、高齢者医療制度が創設された20年度以降、4年連続で3000億円を超える巨額の赤字を計上した。4年間の累計赤字額は1兆6068億円におよんだ。 |
経常収支が赤字となったのは1443組合中、1101組合で、赤字組合の割合は76.3%。23年度に約4割の組合(571組合、39.6%)が保険料率を引き上げたにもかかわらず、約8割の組合が赤字となった。
20年度から23年度までの推移をみると、赤字額は3189億円、5234億円、4156億円、3489億円。保険料率引き上げ組合数は212組合、228組合、415組合、571組合。毎年連続して料率を引き上げている組合も多い。23年度に引き上げた571組合のうち206組合は、2年連続の引き上げとなった。
24年度予算では5782億円の赤字、584組合が料率引き上げを見込んでおり、組合財政はさらに悪化の一途をたどっている。 |
赤字の最大の要因は、高齢者医療制度に対する納付金・支援金等だ。23年度は2兆8721億円で、前年度より2302億円、8.7%増加した。内訳は、前期高齢者納付金等が1兆4633億円(対前年度比10.2%増)、後期高齢者支援金等が1兆4087億円(同7.2%増)。制度切り替え時(老健制度廃止、高齢者医療制度創設。19〜20年度)以来の高い伸びを示した。納付金・支援金等の保険料収入に対する割合は44.1%となっている。 |
支出のうち、組合の被保険者・家族の医療費などの法定給付費は、3兆5293億円(対前年度比840億円増、2.4%増)で、保険料収入に対する割合は54.2%。これに納付金・支援金等を合わせた、いわゆる義務的経費の保険料収入に対する割合は98.2%となっている。
また、686組合(全組合の47.5%)で義務的経費が100%を超えていて、保健事業など必要な事業展開のためには、準備金や別途積立金などの取り崩しによって不足分を充当しなければならないという苦しい状況が続いている。 |
健保連大阪連合会は9月23日、平野博文議員(衆・民主・大阪11区)へ、高齢者医療制度への早期の公費投入拡大等を要請した。この日は、大阪連合会の長井輝臣副会長(パナソニック健保組合顧問)、置田榮克専務理事が平野議員の大阪事務所を訪ねた。
大阪連合会からは、高齢者医療制度の安定運営には公費5割の早期投入が欠かせないこと、そのための追加財源として、前期制度と後期制度合わせて2兆2000億円が必要であることなどを詳細に説明した。
平野議員は、公費5割投入は年金・介護制度との関係から理にかなっていること、また、現役世代の高齢者への拠出が限界にきている点について理解を示した。 |
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