広報誌「かけはし」
 
■2011年7月 No.478
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●メンタルヘルス事業に国庫補助を
 

 厚労省の調査では、ここ10年でうつ病患者が急激に増加し、100万人以上と推計している。
 当組合の傷病手当金の支給件数は、平成22年度637件であった。19年度が383件、20年度445件、21年度569件と毎年着実に(?)増えている。それにともない支給額も、毎年15%から20%増加している。そのうち約7割がメンタル疾患の請求で、精神疾患は長期化するため支給期間も満了の1年6カ月支給するものがほとんどで、真に「メンタル手当金」である。うつ病の型も時代とともに多様化してきて、「新型うつ病」として逃避型、現代型、未熟型、気分変調型、非定型と呼ばれているらしい。精神科医・心療内科医も診断に苦慮すると想像される。
 国は、労働安全衛生法にもとづく指針として、事業所がメンタルヘルスケアに取り組むための実施方法を示しているが、当組合の加入事業所の8割強は従業員50人未満の産業医のいない事業所で、職場におけるメンタルヘルス対策が十分とはいえないのが実情である。
 当組合も事業所に対して委託による電話相談・面談などのメンタルヘルス支援を保健事業に取り入れたいのだが、高齢者医療への拠出金の増大で拠出金と保険給付を合わせると保険料収入の111%(22年度)を超える財政状況では、新事業の実施はとても無理である。
 高齢者医療制度への公費投入の拡大で拠出金が軽減され、特定健診・特定保健指導のようにメンタルヘルス事業への国庫補助があれば、すぐにでも実施するのだが。

(第4地区 A・Y)

   
●保険料負担に上限を
 

 この文章が掲載される頃には、社会保障と税の一体改革案が示され、多岐にわたる賛否意見が新聞等の紙面を賑わしていることを想定しながら書いています。しかしながら、どのような改革案であっても適正な公費の裏付けが必須条件、保険料での対処には限界があります。
 昨年の法改正により健康保険料率の上限は120‰となりました。なお、介護保険に関しては保険料率の上限規定がありません。一方、厚生年金保険は毎年3.54‰引き上げられ、平成29年9月に183‰を上限に保険料率を固定し「保険料水準固定方式」により給付水準を調整することとしています。
 医療と介護の保険料負担は一体であると考えた場合、平成23年度の医療・介護合算保険料率は健康保険組合の全国平均では91.69‰ですが、協会けんぽでは110.1‰です。また、大阪の総合健保においては101.96‰となっており、総合健保の約2割は110‰以上の合算保険料率です。
 協会けんぽの平成27年度までの収支試算をみた場合、介護を含めると120‰以上となると考えられ、医療・介護・年金の保険料率は300‰(3割)を超えることが予想されます。
 今後の改革において公費拡大が確保されないときには、年金と同様に、医療においても給付水準等の見直しが必要ではないでしょうか。

(第5地区 I・S)

 
●かい〜の保険も50歳
 

 日本の皆保険制度。間寛平の“かい〜の”ではないが、原則すべてに保険が適用される等、かゆい所に手が届く制度として、小改正を繰り返しながら節目の50年を迎えた。
 しかし、右肩上がりの高度経済成長期に形づくられた制度も綻びが目立ち、早急に見直す時期にきている。
 医療・年金・介護等について「社会保障と税の一体改革」と称していろいろ検討されてきたが、医療保険への財源に関して5月中旬、『厚生労働省が税金投入拡大の検討に入った』との報道の一方で、『財務省などとの調整に難航の可能性は否めない』とも記述されており、まだまだ紆余曲折が考えられる。
 高齢者医療制度への税金投入増は当然だが、調整に難航し実施が遅れることも考えられ、現役世代の負担部分だけでも改革を先行する必要があるのではないだろうか。
 現在は、原則すべての医療に保険が適用され、一般的に3割の自己負担のみを支払えばよく、また、何人被扶養者があろうと被保険者一人分の保険料負担のみで、「使わなければ損」的なところがあり、医療費増加の一因になっているのではと考えられる。
 貧困層は別としても、一定の基準を外れた被扶養者からは少額でも保険料を取るとか、診療費の一定額を免責にする(「厚労省が外来負担に100円程度の窓口負担上乗せを検討」との報道もあるが…)など、なんらかの手を打たなければ、地下では皆保険制度を崩壊させる巨大なエネルギーが蓄積され、爆発のときを待っている。

(第6地区 T・S)
 

 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へ送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・宗像(06-4795-5522)へ。