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世界禁煙デー(5月31日)は、世界保健機関(WHO)が喫煙者に24時間禁煙を呼びかけるとともに、各国の政府・自治体・諸機関・個人に対して喫煙と健康問題の認識を深め、適切な対策の実践を求める記念日。今年で24回目になるが、日本では、厚労省が毎年5月31日から6月6日までの1週間を禁煙週間に定めている。
タバコの害が論じられてから久しい。日本では「健康増進法」が2003年5月に施行され、受動喫煙の防止が定められて以来、駅や教育施設、公共施設や病院、交通機関やファミリーレストランなど、全面禁煙の場所がひろがってきている。神戸市役所では、今年の世界禁煙デーから庁舎内を全面禁煙にすると発表、市役所周辺はすでに市条例にもとづく路上喫煙禁止区域となっているため、職員は屋外に出てもタバコが吸えなくなる。もちろん、来庁した市民もその対象だ。
厚労省によると、喫煙者の肺がんによる死亡率は、男性を例にとると非喫煙者に比べ4.5倍。心筋梗塞、狭心症、脳卒中の危険性も2倍近くに上る。また、WHOの発表によると、フィルターを経由して吸い込む主煙流よりも、火のついたタバコの先から漂う副煙流の方が、より有害な成分を含んでおり、この受動喫煙で毎年60万人が死亡、日本でも6800人が犠牲になっていると報じている。タバコは、まさに“百害あって一利なし”の嗜好品なのだ。
では、なぜタバコの有害性は分かりきっているのに、禁煙できないのだろう。一つは、宝くじを購入するときと逆の心理が働くためだ。宝くじは(ほとんど絶望的な確率にもかかわらず)「もしかしたら当たるかも」と考えるのに対し、喫煙によって発がん率や死亡率が高まっても「自分だけは大丈夫」と都合よく考えてしまうのだ。
そしてもう一つは、いつでも禁煙すれば健康は取り戻せるとの誤解から。確かに禁煙すれば元どおりに戻る要素もいくつかあるが、喫煙によっていったん失われた呼吸機能は回復することはない。喫煙者が80%を占める「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)に積極的治療法がないように、長年の喫煙で破壊されてしまった肺胞が元の状態に戻ることはほとんどないのだ。
喫煙者はタバコを早くやめるに越したことはない。もし、5月31日の世界禁煙デーがまだ周知されていない企業があるなら、安全週間や労働衛生週間などと同様に、今年から大々的に禁煙キャンペーンを打ち出してみてはどうか。@終日社内禁煙日(または禁煙ウイーク)の設定A禁煙ラリーの開催B自販機や売店でのタバコ販売停止…など、労使が一体となりキャンペーン期間中、集中して対策に取り組むことで毎年着実に喫煙率を低下させている企業がある。世界禁煙デーを機に各フロアの喫煙室を屋外一カ所に集約し、屋内の喫煙室を全廃した役場の例なども参考にしたい。
禁煙は性別、年齢を問わず、すべての人に大きな健康改善をもたらす。また、禁煙により健康人が増えれば医療費も下がる。『今年こそ卒煙!チャレンジするあなたを応援します』、これはある健保組合の今年の禁煙キャンペーンのキャッチフレーズだ。機会があればタバコをやめたいと思っている喫煙者は多く、さまざまな因子が禁煙を思い立たせる。みんなで世界禁煙デーを応援しよう。被保険者・家族の健康のため、そして厳しい健保財政のため。 |
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(H・Y) |
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