広報誌「かけはし」

■2011年4月 No.475
 3月16日、定例の理事会を開催し、中央情勢報告を中心議題として審議した。
 会議の冒頭で、今回の東日本大震災の犠牲になられた方がたに黙とうを捧げた。

1. 中央情勢

(1) 大震災にともなう情勢
 

 厚生労働省の審議会、検討会等は中止または延期され、健保連本部も理事会、各種委員会が止まっている。厚生労働省は通達で、被災地域での一部負担金について、猶予または減免の扱いを保険者に依頼している。

(2) 社会保障改革集中検討会議
   2月19日(震災前)に開催され、政府から将来試算が示された。2006年から2025年の20年間で社会保障給付は1.6倍になる。とりわけ医療は1.7倍と推計し、医療給付額の伸びは国民所得の伸びを上回っている。
 検討会議のヒアリングで、日本経団連は高齢化の急進により、現役世代の保険料負担は限界にきていることなどを主張し、連合も高齢者医療(70歳以上)の公費負担を5割に引き上げるよう要求している。
(3) レセプトオンライン
   レセプトオンライン化の現状は、レセプト情報管理システム拡張版の導入が、1334組合で9割強になっているが、従来版あるいは未導入の組合が125組合ある。
(4) 社会保障と税の一体改革に向けた健保連の主張
   社会保障と税の一体改革について、健保連は過去の医療制度改革に関する主張を再度整理するとしていたが、それをまとめたものである。
 基本認識は、岐路に立つ社会保障制度、高齢者医療制度の安定が最大課題などとしている。そのうえで、新たな高齢者医療制度について提案している。制度の枠組みは65歳以上を対象にした別建て方式とし、公費を5割投入する等である。
 大震災を受けて、いまの段階では難しいが、4月中に厚生労働省が原案をまとめる姿勢を崩さないならば、それに向けてわれわれの意見を主張していく。大阪連合会もタイミングをみて各地区会長を中心に、国会議員、関経連、連合大阪に要請していく。
(5) 国のIT化の動向
   政府・与党社会保障改革検討本部の番号制度についての基本方針では、付番、情報連携、本人確認の3つの仕組みで構成されると報告されている。医師会などは否定的だが、健保連は早く導入すべきと意見書を提出している。ITを活用する目的は、医療保険運営コストのいっそうの縮減・効率化にある、とした。要望としては、既存の番号を活かした情報連携の基盤を構築する、導入にあたっては医療保険者など関係者の意見を反映する等である。
(6) 支払基金との契約
   支払基金との平成23年度契約にあたって、支払基金へ、手数料単価の引き下げ、事業運営の効率化と審査の充実を図るよう要請する。
 厚生労働省への要請は、審査支払体制の充実、レセプト様式の見直し、支払基金の業務改善に対する指導としている。

2. 大阪連合会活動

(1) 広報委員会
   かけはし3月号の編集概要の報告があった。
(2) 各委員会報告
   各委員会から22年度の事業結果、23年度の事業計画検討の報告があった。
(3) 大阪連合会の23年度事業計画案
   大阪連合会事業計画案について、専務理事から説明があった。
 健保組合をめぐる情勢では、現状認識として、政治では衆参ねじれ国会、経済では雇用の不透明さ、少子社会の進行等の厳しい状況がある。健保組合の財政状況は、保険料収入の5割近くが納付金、支援金であり、その影響で21年度、22年度ともに8割以上の組合が赤字である。高齢者医療制度にかかる財源問題、社会保障と税の一体改革等、医療保険分野には重要課題が山積している。
 大阪連合会においても、地区会、理事会、委員会等において、このような問題点を共有し、真摯な議論を重ね、安定的な事業運営ができる医療保険制度実現に向けて努力を続けることとしたい。
 政党、国会議員への要請活動、近畿厚生局、大阪府、関経連、連合大阪、協会けんぽ等、関係機関との連携を図り、組織活動、組合運営の支援活動等を推進する。
 予算案の審議も含めて、事業計画案は承認された。
 総会の運営について、大震災の関係で本部からの出席がなく、「医療・介護問題の政策動向」のタイトルで国際医療福祉大学大学院の和田教授に講演をいただく、との説明があった。