■2010年10月 No.469
社会保障と消費税の一体議論を!!
− 財源確保には不可避 −
厚労省は8月10日、大阪市内で新たな高齢者医療制度についての公聴会を開催した。
高齢者医療制度改革会議の審議状況、中間とりまとめ(案)の概要説明が行われたあと、参加者との意見交換が行われた。そのなかで、天満屋健康保険組合の堀瀬常務理事は、つぎのような意見を述べた。
高齢者の保険料と現役世代の拠出金等の負担が増加し、共倒れしないように、公費の拡充を実現してほしい。高齢者は必ずしも一様に弱者ではなく、取りやすい現役世代から取るといったことのないようにしてほしい。また、費用負担の明確化、可視化を求める。公費負担拡充と併せて医療費適正化も必要である。この両輪があって、はじめて持続可能な安心できる制度となる。健保組合は、財政調整にいっさい応じないといっているわけではない。説明のなかで、「保険料の一部」という表現があったが、健保組合の拠出金等の負担は、「一部」どころではない。高齢者のための負担が、自らの加入者のための負担を上回るような状況にある。財政調整にも限界があり、上限を定めてもらいたい。
これに対して会場からは、大きな拍手がわき上がった。
健保連の平成21年度決算見込みによると、高齢者納付金等の拠出金が、保険料収入の50%以上の組合が533組合もあり、全組合の8割が財政赤字に陥っている。このため、現行制度でも65歳以上の高齢者医療制度について75歳以上と同様に公費投入とそのための財源の確保が必要となっている。
新制度での費用負担については、高齢者の保険料は、医療給付費に直接あてて、高齢者保険料と公費で賄えない分は、現役世代が支援するという基本形が望ましい。しかし、それではなかなか制度の持続性は確保できまい。
保険者は軒並み赤字であり、高齢化の進展や医療費の伸びを考えると、ますます負担は増える構図になることは必定である。したがって費用負担の順番としては、@高齢者の保険料A現役世代の拠出可能な支援金B足りない分は公費という考え方が妥当ではないか。とりわけ公費の拡充を前提にお願いしたい。
一方、消費税の引き上げについて、各種世論調査によると、「賛成」が「反対」を上回っている。厳しい経済状況を背景にして、国民の増税への理解は、一定程度、広がっているようだ。政府は、「社会保障にこれだけ財源が必要なため、消費税率はこれだけ」と具体的に示せば、国民の理解が得られると思う。
費用負担に関しては、公費負担の拡充、財政調整の仕組み等でさらなる議論が必要となる。年末の最終とりまとめに向けて、政府は社会保障と消費税に関しては、一体で議論をすすめ、財源確保に努めてほしい。
(K・K)